システィーナ礼拝堂 Sistine Chapel
バチカン宮殿にある、教皇の礼拝堂。シクストゥス4世のもと1473年に着工し、ソロモン神殿の比例に倣って築かれた。壁を彩る初期ルネサンスの壁画群と、ミケランジェロの天井画・『最後の審判』で名高い。教皇を選ぶコンクラーヴェの場でもある。
§1 — 概要概要
システィーナ礼拝堂(Sistine Chapel、イタリア語: Cappella Sistina)は、バチカン市国にある教皇宮殿(使徒宮殿)の礼拝堂である。その名は、これを建てさせた教皇シクストゥス4世にちなむ。建築としての価値に加え、内部を覆う壮麗な壁画群――とりわけミケランジェロの天井画と『最後の審判』――によって、世界に名高い。今日では、新しい教皇を選ぶ秘密選挙(コンクラーヴェ)の場としても知られる。
歴史
礼拝堂は、シクストゥス4世の命により、1473年から1481年にかけて、古い「大礼拝堂(カペッラ・マグナ)」の場所に築かれた。設計はバッチョ・ポンテッリ、施工はジョヴァンニーノ・デ・ドルチが監督したと伝えられる。1483年8月15日、聖母被昇天の祝日に最初のミサが捧げられ、聖母マリアに奉献された。
完成ののち、内部の装飾が始まった。1481年から翌年にかけて、ペルジーノ、ボッティチェリ、ギルランダイオ、ロッセッリといった当代の名手たちが、側壁にモーセの生涯とキリストの生涯を描いた。やがて1508年から1512年にかけては、ミケランジェロが教皇ユリウス2世の命で天井に『創世記』の場面を描き、さらに1536年から1541年には、祭壇の壁に巨大な『最後の審判』を描いた。これらの壁画は、20世紀末に大規模な修復を受けている。
建築的特徴
礼拝堂は、煉瓦造の簡素な長方形の空間で、上を緩やかな半円筒のヴォールトが覆う。その寸法――長さ約40メートル、幅約13メートル、高さ約20メートル――は、旧約聖書が伝えるエルサレムのソロモン神殿の比例に倣ったものとされる。外観に装飾は乏しく、堂々たる内部空間を、もっぱら壁画が荘厳する。内部は大理石の仕切り(トラセンナ)によって二つに分けられ、奥の祭壇側が、教皇庁の儀式のための空間となる。
意義・現在
システィーナ礼拝堂の名声は、なによりもその壁画にある。一個の建築空間が、初期ルネサンスから盛期ルネサンスへと至る絵画の精華を、ひとところに集めている点に、ここの比類なさがある。建物は、それらの絵を受けとめる器として構想された。今日もなお教皇の礼拝堂として用いられ、バチカン市国の世界遺産の一部として、また人類の至宝として、世界中から訪れる人を迎えている。