サン=ドニ門 Porte Saint-Denis
パリ10区に建つ、ルイ14世のライン戦役の勝利を記念した凱旋門。1672〜73年、王立建築アカデミー初代総長フランソワ・ブロンデルの設計で、古代ローマのティトゥス凱旋門に範をとって建てられた。浮彫はミシェル・アンギエが手がけた。
§1 — 概要概要
サン=ドニ門(Porte Saint-Denis)は、フランスの首都パリの10区に建つ凱旋門である。かつてパリを囲んだシャルル5世の市壁の門があった場所に立ち、サン=ドニ通りが大通り(グラン・ブールヴァール)と交わる地点を画する。太陽王ルイ14世の軍事的栄光を称えるために築かれた、その時代の公式芸術を代表する記念碑である。
歴史
17世紀後半、パリの拡大にともない、中世以来の城壁は撤去され、その跡地には街路と並木道(ブールヴァール)が整えられた。要塞の門は不要となり、代わって王の威光を示す凱旋門が建てられることになる。サン=ドニ門は、ルイ14世が1672年にライン川を越えて連戦した戦役(オランダ侵攻)を記念し、同1672年に着工、翌1673年に完成した。設計は、王立建築アカデミーの初代総長を務めた建築家・数学者フランソワ・ブロンデルが担い、浮彫の彫刻は彫刻家ミシェル・アンギエが手がけた。市の費用で建てられ、王への献辞が刻まれている。
建築的特徴
門は古代ローマのティトゥス凱旋門を範とした、単一のアーチをもつ古典的な構成である。高さはおよそ25メートルに及ぶ。最大の特徴は、アーチの両脇に配された巨大なオベリスク状の浮彫で、戦勝の場面を表す群像と戦利品(トロフィー)が彫り込まれている。アーチ上部のアティック(頂部の水平な壁面)には、王の事績を称えるラテン語の銘文「LVDOVICO MAGNO」(ルイ大王に)が大きく掲げられる。装飾を一点に集中させ、面を大きくとった構成は、フランス古典主義の明快さをよく示している。
意義・現在
サン=ドニ門は、中世の防御の門が近世の記念の門へと姿を変えた、都市と建築の転換を象徴する。古代ローマの形式を借りながら、絶対王政の権力をパリの街路に刻んだ作例として、後のフランスやヨーロッパの凱旋門の先例ともなった。1862年にフランスの歴史的記念物(モニュマン・イストリク)に指定され、現在も交通の行き交うグラン・ブールヴァールの只中に立つ。