イングランドの古都バースを流れるエイヴォン川に架かる、両側に店舗が並ぶ稀有な橋。新古典主義の巨匠ロバート・アダムがパッラーディオ風の意匠で設計し、1769年に起工、1774年に完成した。橋の全長にわたって商店が連なる、世界でも数少ない例として知られる。
§1 — 概要概要
パルトニー橋(Pulteney Bridge)は、イングランド南西部の都市バースを流れるエイヴォン川に架かる石造の橋である。両側の全長にわたって商店が建ち並ぶ、世界に数例しかない「橋上に店舗をもつ橋」のひとつとして名高い。新古典主義建築の主導者ロバート・アダムが設計し、川向こうのバスウィック地区を開発するために架けられた。
歴史
橋は、ウィリアム・パルトニー卿が相続したバスウィックの土地を市街と結ぶために計画された。当初は渡し舟しかなかったこの土地に新市街を開く構想のもと、アダム兄弟が1770年に設計を整え、1769年から1774年にかけて建設された。橋の名は卿の妻フランシス・パルトニーにちなむ。完成後まもなく店舗の拡張や正面意匠の改変が重ねられ、18世紀末には洪水で北側が損傷したが、ほぼ同じ意匠で再建された。19世紀以降も改修が続き、20世紀には創建時の姿に近づける修復が行われている。
建築的特徴
アダムは、ヴェネツィアのリアルト橋などルネサンスの架橋構想に通じるパッラーディオ式の理念をこの橋に与えた。三連のアーチが川を渡り、その上に左右対称のファサードをもつ商店列が載る。中央には切妻(ペディメント)を戴くパヴィリオン状の張り出しが設けられ、単なる橋というより一棟の建築のように整えられている。実用の構造物に古典の秩序と装飾を与えた点に、室内意匠まで統御したアダムの作風がよく表れている。
意義・現在
パルトニー橋は、ジョージ王朝期のバースが築いた洗練された都市景観を象徴する存在であり、橋の下流の堰とともに数多くの絵画や写真に描かれてきた。バース市街は世界遺産に登録されており、本橋はその風景の重要な一部をなす。第一級(グレードI)指定建造物として保護される一方、現在もバスやタクシーが通る生きた橋として使われ続けている。