ラ・レコレタ墓地 Recoleta Cemetery
ブエノスアイレス中心部に広がるアルゼンチン随一の墓地。1822年に同市初の公共墓地として開かれ、ドーリア式の新古典主義の門の奥に、折衷様式の壮麗な霊廟が街区状に立ち並ぶ。エバ・ペロンら著名人が眠る。
§1 — 概要概要
ラ・レコレタ墓地は、ブエノスアイレス中心部のレコレタ地区に位置する、アルゼンチンを代表する墓地である。歴代大統領やエバ・ペロンをはじめとする著名人がここに眠り、地上式の霊廟が約4,700基も林立する。その密度と装飾の豊かさから、しばしば屋外の建築博物館にもたとえられる。
歴史
この地には18世紀初頭、フランシスコ会リコレクト派の修道院と教会が営まれていた。1822年に修道会が解散すると、その庭園が同市初の公共墓地に転用され、同年11月17日に「北墓地」として開設された。当初の区画設計はフランス人技師プロスペロ・カトランが手がけている。現在見られる新古典主義の正門と街区状の構成は、1881年、市長トルクアト・デ・アルベアルのもとでイタリア出身の建築家フアン・アントニオ・ブシアッツォが改修したものである。
建築的特徴
入口は背の高いドーリア式の列柱を備えた新古典主義の門で、そこから先は碁盤の目状の街路として整えられる。並木道から分かれた小路に沿って、大理石の霊廟が密集して建つ。墓標の意匠はきわめて折衷的で、アール・デコ、アール・ヌーヴォー、バロック、ネオ・ゴシックが混在し、1880年から1930年にかけて用いられた石材の多くはパリやミラノから輸入された。彫刻にはロラ・モーラら著名な彫刻家の手になるものも含まれる。高い霊廟は地上数階に及ぶものもあり、地下には複数の棺を納める納骨室を備える。
意義・現在
94基の霊廟がアルゼンチン国定歴史記念物に指定され、国家の保護下にある。歴代大統領をはじめ、政治家・軍人・文人・科学者など、アルゼンチン近現代史を彩った人物が数多く葬られ、エバ・ペロンの墓は最も多くの参拝者を集めるものの一つである。現在も富裕な家系が所有と埋葬を続ける一方、荒廃した区画も少なくない。墓地でありながら都市的な街区と多様な様式を一望できる場として、ブエノスアイレス有数の観光地となっている。