ロシア南部ロストフ・ナ・ドヌ、ドン川左岸に建つサッカー専用スタジアム。2018 FIFAワールドカップの会場として新設され、約4万5000人を収容する。夜には外周全体が映像を映すメディアファサードとなる。
§1 — 概要概要
ロストフ・アリーナ(露 Ростов Арена)は、ロシア南部ロストフ州の州都ロストフ・ナ・ドヌにあるサッカー専用スタジアムである。2018 FIFAワールドカップの会場として新設され、大会後はロシア・プレミアリーグのFCロストフが本拠地としている。収容人数は約4万5000人。旧市街の対岸にあたるドン川左岸のほとんど未開発の土地に建てられ、同地区の新しい都市開発の起点と位置づけられた。
歴史
2011年、スポーツ施設を専門とする設計事務所ポピュラスが公式のコンセプト案を発表した。スタンドと屋根がいずれも不整形で、重なり合う2枚の軽量な膜屋根をもつ非対称の構成であった。当初の計画には、北側スタンドを開いてドン川への眺めを取り込む案も含まれていた。しかし建設費削減のために計画は大幅に見直され、実際には周囲を閉じた楕円形のボウルとして建設された。スタジアムの公式情報は、設計と施工をともに開発会社クロクス・インターナショナルが担ったとしている。
敷地は一年の一部が水に浸かる湿地であったため、大量の沖積土を盛って地盤を約6メートルかさ上げした。2013年に着工し、同年6月の起工時には第二次世界大戦期の砲弾5発が見つかっている。2015年に杭打ちを終えて上部構造の工事に移り、2016年には屋根を支える構造の据え付けが完了した。建設は2017年12月に完了し、2018年4月15日に最初の公式戦、同年5月13日に正式な開場試合が行われた。
建築的特徴
建物は地上5層、高さ約40メートルの楕円形で、天然芝のピッチを3層のスタンドが囲む。スタンドを覆う膜屋根は、ピッチの上に矩形の開口を残す。主となる西スタンドは、計画中の業務地区の中央遊歩道(エスプラナード)へと続く歩行者の軸線に向けて配置された。上層席からもピッチ全体が見通せるよう視線の角度が計算されており、スタンド下層の四隅には、芝の通気と作業車両の出入りのための切れ目が設けられている。
外観を特徴づけるのは、外周をひと続きに包むメディアファサードである。約5万4000個のLEDが組み込まれ、夜間には長さ約850メートル、高さ約19メートルの帯状の面が映像や文字を映し出す。この仕組みは当初の設計にはなく、施工段階で加えられたものである。昼は簡素な箱型の外観だが、夜には光の帯へと表情を変える。
意義・現在
2018年のワールドカップでは5試合が行われた。グループリーグのブラジル対スイス、ウルグアイ対サウジアラビア、韓国対メキシコ、アイスランド対クロアチア、そして決勝トーナメント1回戦のベルギー対日本(3対2)である。日本代表が2点を先行しながら逆転された一戦として、日本でも記憶される会場となった。大会後はFCロストフの本拠地として使われ、2018年には隣接地に公園も開かれた。