王立武器庫(リヴルストカンマレン)は、スウェーデン・ストックホルムの王宮地下にある同国最古の博物館。1628年に国王グスタフ2世アドルフが創設し、王室の武具や礼装を収蔵・展示する。
§1 — 概要概要
王立武器庫(リヴルストカンマレン)は、スウェーデンの首都ストックホルムにある博物館である。スウェーデンに現存する最古の博物館とされ、旧市街ガムラ・スタンに建つ王宮の地下空間に置かれている。歴代の王が用いた甲冑や武器、戴冠用の礼装、馬具や馬車など、スウェーデン王室にまつわる品々を収蔵・展示する。建物そのものというより、王室の記憶を伝える収蔵機関として独自の歴史を歩んできた点に特色がある。
歴史
その起源は1628年にさかのぼる。国王グスタフ2世アドルフが、ポーランドでの戦役で身につけていた衣服を後世に残すよう命じたことが、武器庫の始まりと伝えられる。当初は王の遺品を保存する場であったが、やがて王室の武具や装身具を体系的に収める機関へと発展した。収蔵品は時代とともに各所を転々とし、20世紀に入って建築家スヴェン・イーヴァル・リンドの設計により、王宮地下のヴォールト空間に現在の展示の場が整えられた。ニコデムス・テッシン(子)によるバロックの王宮という歴史的な器のなかに、近代的な博物館が組み込まれた形である。
建築的特徴
展示空間は、王宮の堅固な石造地下に穿たれた連続するヴォールトによって構成される。重い穹窿が連なる薄暗い空間は、甲冑や武具を陳列する場として独特の荘厳さを帯びる。リンドの設計は、歴史的な構造体に手を加えすぎることなく、照明と動線によって展示品を浮かび上がらせる抑制的なものである。王宮という巨大なバロック建築の内部に、別の時代の設計思想による展示空間が入れ子状に成立している点が興味深い。
意義・現在
王立武器庫は、単なる武具の収集にとどまらず、スウェーデン王室の歴史そのものを物語る場である。戦場の衣服から戴冠の礼装に至るまで、王たちの生と死にまつわる品々が、時代を越えて保存されてきた。今日では国立の博物館として広く一般に公開され、ストックホルムを訪れる人々がスウェーデンの王権の歩みに触れる窓口となっている。