聖マルコ大聖堂 (カイロ) Saint Mark's Coptic Orthodox Cathedral
カイロのアッバスィーヤに建つ、コプト正教会の総本山。教皇キュリロス6世とナーセル大統領のもと1968年に献堂され、ヴェネツィアから返還された聖マルコの聖遺物を納める。2019年まではアフリカ・中東で最大の大聖堂であった。
§1 — 概要概要
カイロのアッバスィーヤ地区に建つ、コプト正教会の中心となる大聖堂である。エジプトのキリスト教徒であるコプトの教皇(アレクサンドリア教皇)の座があり、1世紀にコプト教会を開いたとされる福音記者・聖マルコに捧げられている。1968年の完成から2019年まで、アフリカと中東で最大の大聖堂であった。
歴史
この地はもともとコプトの墓地で、10世紀、カイロの建設にあたって教会が手放した土地の代わりに与えられたものという。20世紀、信徒の増加に応える新たな総本山として、教皇キュリロス6世のもとで建設が進められた。1965年に礎石が据えられ、ナーセル大統領の寄進も得て、1968年に献堂された。その式典には、ナーセルとエチオピア皇帝ハイレ・セラシエらが列席した。
完成にあたっては、828年にエジプトからヴェネツィアへ持ち去られていた聖マルコの聖遺物の一部が、ローマ教皇パウロ6世によって返還され、堂内の聖龕に納められた。これはコプト教会にとって大きな意味をもつ出来事であった。
建築的特徴
設計競技を勝ち抜いたファフミー兄弟の案により、平面は十字形にかたどられた。構造は、コプト系の構造技師ミシェル・バフームが手がけ、鉄筋コンクリートによって、五千人を収めうる広大な内部を、柱の少ない開放的な空間として実現した。古代以来のコプト建築の伝統を、20世紀の技術によって大きな規模でよみがえらせた作といえる。
意義・現在
聖マルコ大聖堂は、コプト正教会の信仰と歴史を一身に体現する建築である。歴代教皇の典礼や叙任がここで行われ、教皇キュリロス6世も主祭壇の下に葬られた。聖マルコの座を継ぐ教会の総本山として、また、現代によみがえったコプト建築の記念碑として、エジプトのキリスト教徒の心のよりどころであり続けている。
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