モスクワ地下鉄セルプホフスコ=チミリャゼフスカヤ線の駅。シュマコフ設計、1988年開業の深層パイロン式駅。モザイクで装飾され、1980年代の「装飾の回帰」を示す。
§1 — 概要概要
サヴョロフスカヤ駅(Савёловская)は、モスクワ地下鉄セルプホフスコ=チミリャゼフスカヤ線(9号線)の駅である。1988年に開業した深さ52メートルの深層駅で、建築家ニコライ・シュマコフが設計した。1960年代の徹底した実用主義から、図像や装飾を取り戻そうとする1980年代の地下鉄建築の傾向を示す一例である。駅名は、地上の出入口が面するサヴョロフスキー駅(鉄道ターミナル)に由来する。
歴史
セルプホフスコ=チミリャゼフスカヤ線は1983年に南部区間から開業し、1980年代を通じて都心へ、さらに北部へと延伸された。本駅は1988年12月31日、都心区間がサヴョロフスキー駅前まで達したときに、その北端の終着駅として開業した。1991年に北方のオトラドノエまで延伸されるまで、終点としての役割を担っている。2018年12月以降は、同名のボリシャヤ・カリツェヴァヤ線サヴョロフスカヤ駅との乗り換えが可能となった。設計者シュマコフは、のちにロシア建築家同盟の総裁を務める、ソビエト末期からロシアにかけての地下鉄建築を代表する一人である。
建築的特徴
サヴョロフスカヤは深層のパイロン式三廊式駅である。パイロン式は、中央ホールと両側のプラットフォームを、太い橋脚状の壁体(パイロン)で隔てつつ通路で結ぶ、深層駅の代表的な形式である。地表から52メートルの深さに位置し、出入口は鉄道ターミナル前の広場に設けられている。軌道側の壁面はモザイクのパネルで装飾され、1960年代の百足型駅に見られた装飾の徹底した省略とは対照的に、色彩と図像が空間に導入されている。
意義・現在
本駅は、ソビエト地下鉄が実用一辺倒の時代を脱し、ふたたび装飾性と多様性へ向かう1980年代の転換を体現している。深層パイロン式という伝統的な形式に、モザイクによる装飾を組み合わせる手法は、スターリン期の絢爛さとも1960年代の禁欲とも異なる、後期ソビエトの折衷的な到達点といえる。現在も主要な乗換駅のひとつとして利用されている。