ベルリンの大ティーアガルテンに立つ高さ六十七メートルの戦勝記念塔。プロイセンの戦勝を記念してハインリヒ・シュトラックが設計し、頂部に金色のヴィクトリア像(通称ゴルトエルゼ)を戴く。
§1 — 概要概要
戦勝記念塔(ジーゲスゾイレ、Siegessäule)は、ドイツの首都ベルリン中央、広大な公園である大ティーアガルテンの中心に立つ記念柱である。総高は約六十七メートル。砲身を意匠化した円柱の頂に、金色に輝く勝利の女神ヴィクトリアのブロンズ像を戴く姿で知られ、ベルリン市民からは「ゴルトエルゼ(黄金のリーズヒェン)」の愛称で親しまれている。
歴史
塔は、1864年のデンマークとの戦争(第二次シュレースヴィヒ戦争)におけるプロイセンの勝利を記念して計画され、建築家ヨハン・ハインリヒ・シュトラックが設計した。着工から完成までの間にプロイセンは普墺戦争(1866年)と普仏戦争(1870〜71年)にも勝利し、ドイツ統一が成し遂げられたため、当初の意図を超えて一連の「統一戦争」を顕彰する記念碑へと性格を変えた。1873年9月2日、宮殿前の広場ケーニヒスプラッツで除幕された。1938年から39年にかけてナチス政権の都市改造計画により現在地へ移設され、その際に柱が一段分積み増されて高さを増している。
建築的特徴
基壇の上に円筒形の柱身が立ち上がり、その表面には敵から鹵獲した大砲の砲身が金色に塗られて埋め込まれている。古代ローマの戦勝記念柱に倣う構成をとり、頂部には彫刻家フリードリヒ・ドラーケによる高さ約八・三メートルのヴィクトリア像が据えられる。女神は片手に月桂冠を、もう一方に軍旗を持ち、兜をかぶった姿で都市を見下ろす。基壇内部の回廊には、戦争と統一を主題とするモザイク壁画が施されている。柱の内部は螺旋階段で頂部の展望台に通じ、ベルリン市街を一望できる。
意義・現在
戦勝記念塔は、ドイツ統一期(グリュンダーツァイト)の国家的記念碑の代表例であり、19世紀の歴史主義が古代の様式を借りて近代国家の物語を語った好例である。当初の場所から移されながらも破壊を免れ、東西分断と再統一を経たベルリンの景観の不動の目印として残った。今日では大ティーアガルテンを貫く東西軸の結節点に立ち、展望台は市内有数の眺望点として多くの来訪者を集めている。