聖ニコラス海軍大聖堂 St. Nicholas Naval Cathedral, St. Petersburg
サンクトペテルブルク、クリュコフ運河に臨むロシア正教会の大聖堂。1753年に着工し、海軍の主任建築家サッヴァ・チェヴァキンスキーが設計した華麗なロシア・バロックの傑作で、ロシア海軍の主聖堂とされてきた。
§1 — 概要概要
聖ニコラス海軍大聖堂(St. Nicholas Naval Cathedral / Никольский морской собор)は、サンクトペテルブルク中心部西側、クリュコフ運河の岸辺に建つロシア正教会の大聖堂である。航海者の守護聖人である聖ニコラスに捧げられ、その名のとおりロシア海軍と深く結びついた聖堂として、革命期に至るまで海軍の主聖堂の役割を担った。
歴史
聖堂は、かつて同地にあった木造の連隊教会に代えて、1753年から1762年にかけて建設された。設計者は、海軍省の主任建築家サッヴァ・チェヴァキンスキーである。本体とは独立した四層の鐘楼は1755年から1758年にかけて建てられ、高くそびえる金色の尖塔を戴く。聖堂は二つの教会から成り、地階の聖ニコラス教会と、その上階の主顕現教会に分かれる。上階の祭壇はエカチェリーナ2世臨席のもとで聖別された。ソビエト期にも閉鎖を免れて礼拝を続けた数少ない聖堂であり、20世紀以降は、コムソモーレツやクルスクなど、喪われた潜水艦の乗員を悼む記念銘板が掲げられている。聖堂前の庭園には、1908年に日本海海戦の戦没者を追悼するツシマ・オベリスクが建てられた。
建築的特徴
この聖堂は、女帝エリザヴェータの治世に花開いた、いわゆるエリザヴェータ様式ないしロシア・バロックの代表例である。平面は十字形をとり、コリント式の円柱、漆喰によるアーキトレーヴ、幅広いエンタブラチュアで壁面が荘重に飾られる。全体は五つの金色の玉ねぎ型ドームによって戴かれ、青と白を基調とする外観が運河の水面に映える。内部は5,000人を収容しうる規模をもつ。
意義・現在
海軍とともに歩んだ聖堂として、聖ニコラス海軍大聖堂はロシアの連邦文化財に指定され、保護されている。歴代の艦と乗員を記憶する場であると同時に、今日も日々の礼拝が営まれる現役の正教会堂であり、都市の運河景観を構成する重要な建築として親しまれている。