マドリードの超高層ビル群クアトロ・トレスの一角を占める高さ236メートルのオフィスタワー。スペイン人建築家カルロス・ルビオとエンリケ・アルバレス=サラが設計し、2008年に竣工した。湾曲した面とガラスの二重皮膜が特徴である。
§1 — 概要概要
PwCタワー(西: Torre PwC、旧称トーレ・サシール・バレルモソ)は、スペインの首都マドリード北部の超高層ビル群クアトロ・トレス・ビジネス・エリア(CTBA)に立つオフィスタワーである。高さ236メートル・地上52階を数え、スペインで3番目に高い超高層建築である。CTBAを構成する4棟のうち、唯一スペイン人建築家の手によるものとして知られる。
歴史
建設は2004年に始まり、2008年4月12日に竣工した。設計はカルロス・ルビオ・カルバハルとエンリケ・アルバレス=サラ・ワルテルが担った。スペインにおける超高層建築の歴史は浅く、市内でも標高の高い一帯に立つことから、塔はマドリードのスカイラインに明瞭な輪郭を与えている。竣工後、上層階の一部にコンサルティング会社PwC(プライスウォーターハウスクーパース)が入居し、現在の名称の由来となった。下層には五つ星ホテル「ユーロスターズ・マドリード・タワー」が営業している。
建築的特徴
平面は、三つの弧が三本の円筒を包むような、辺の湾曲した三角形に近い形をとる。塔身には縦に走る切れ込みが入り、全体を三つの塊に分けることで垂直性を強調すると同時に、内部へ光を導いている。外装は全面をガラスの鱗で覆うダブルスキン・ファサードで、これはCTBAの中でも本塔のみの特徴である。窓は風圧の抵抗を最小化する配置がとられ、屋上には建物で使う電力の一部をまかなう小型風力発電機が設置されている。
意義・現在
PwCタワーは、2000年代にマドリード北部で進んだ超高層開発を象徴する一棟であり、明快な量塊と透明な皮膜によって、過剰な装飾を避けた現代建築の作法を示す。オフィスとホテルを複合する用途構成や、二重皮膜・風力発電といった環境への配慮は、21世紀初頭の高層建築が機能と省エネルギーの両立を志向した流れを反映している。現在もマドリードのビジネス地区を代表するランドマークの一つである。