ウォーターゲート・コンプレックス Watergate complex
ワシントンD.C.のポトマック川岸に建つ複合施設。イタリアの建築家ルイジ・モレッティの設計で、1963年から1971年にかけて建てられた。集合住宅・オフィス・ホテル・店舗からなり、曲線を多用したモダニズムの造形で知られる。1972年のウォーターゲート事件の舞台としても名高い。
§1 — 概要概要
アメリカの首都ワシントンD.C.、ポトマック川のほとりに建つ複合施設である。集合住宅・オフィス・ホテル・店舗が一体となった、市内で初めての複合開発であった。イタリアの建築家ルイジ・モレッティが設計し、曲線を多用したモダニズムの造形で知られる。1972年のウォーターゲート事件の舞台となったことでも、世界に名を知られている。
歴史
1960年、イタリアの不動産会社ソシエタ・ジェネラーレ・インモビリアーレが、ガス工場の跡地であった川沿いの一画を取得した。「ウォーターゲート」の名は、かつてこの地にあった運河の水門に由来する。設計はモレッティが担い、地元の建築家ミルトン・フィッシャーが補佐した。
建設は1963年に始まり、1971年までに、五つの建物からなる複合施設が順次かたちを整えた。「都市のなかの都市」をめざし、住む・働く・買うが一つの敷地で完結するよう構想された。1972年、オフィス棟に入っていた民主党全国委員会の事務所に何者かが侵入し、これが大きな政治事件へと発展する。事件は2年後、ニクソン大統領の辞任に至り、「ウォーターゲート」の名は政治スキャンダルの代名詞となった。
建築的特徴
複数の建物は、いずれも鉄筋コンクリート造で、なめらかな曲線を描く外観をもつ。バルコニーが連なって生む波打つような壁面は、直線的なワシントンの建築のなかで、際立って異彩を放った。この曲面を設計・施工するために、当時としては早い時期にコンピューターが用いられた。敷地の大半は庭園にあてられ、噴水やプールを配した、ゆとりある外部空間がつくられている。
意義・現在
ウォーターゲート・コンプレックスは、戦後アメリカに持ち込まれたイタリア・モダニズムの、力強い実例である。その曲線の造形は、画一的とされた首都の景観に新風を吹き込んだ。政治事件によって名を知られることになったが、建築としても、ワシントンを代表する20世紀の作品の一つであり続けている。
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