ウェストミンスター・ブリッジ Westminster Bridge
ロンドンのテムズ川に架かり、ウェストミンスターとランベスを結ぶ道路橋。技師トーマス・ペイジの設計で1854年に着工し1862年に開通した、鋳鉄製の七連アーチ橋である。国会議事堂に合わせたゴシック風の装飾はチャールズ・バリーが手がけた。
§1 — 概要概要
ウェストミンスター・ブリッジ(Westminster Bridge)は、ロンドンのテムズ川に架かり、西岸のウェストミンスターと東岸のランベスを結ぶ道路橋である。北詰にはウェストミンスター宮殿(国会議事堂)とビッグ・ベンが立つ。中央ロンドンでテムズ川に架かる現存最古の道路橋として知られる。
歴史
この地には1750年、スイス出身のシャルル・ラベリエが設計した石造の初代橋が架けられた。しかし19世紀半ばには地盤沈下が進んで維持費がかさみ、架け替えが決まった。現在の二代目は技師トーマス・ペイジの設計により、1854年に着工した。施工業者の倒産などで工事は難航したが、ペイジ自身が事業を引き継ぎ、旧橋を半分ずつ取り壊しながら交通を止めずに架け替えた。1862年5月24日、ヴィクトリア女王の誕生日にあたる早朝に開通した。
建築的特徴
全長約250メートル、幅約26メートルの鋳鉄製七連アーチ橋で、扁平な楕円アーチが緩やかに連なる。橋脚と橋台は花崗岩で覆われている。隣接するウェストミンスター宮殿の垂直式ゴシックと調和するよう、欄干や照明柱には繊細なゴシック風の装飾が施された。この意匠を担ったのは、宮殿そのものの設計者でもある建築家チャールズ・バリーである。橋は、北詰の宮殿に近い庶民院の革張り座席にちなんで緑色に塗られている。これは、上流側で貴族院の赤い座席にちなんで赤く塗られたランベス・ブリッジと対をなしている。
意義・現在
鋳鉄を大規模なアーチに用いた点で、石造から近代的な鉄橋への過渡期を示す土木遺産である。なお、ウィリアム・ワーズワースが1802年に詠んだ名高いソネット「ウェストミンスター橋の上にて」は、この地に架かっていた初代の石橋からの早朝の眺めをたたえたものである。1868年には、この橋のたもとに世界初の交通信号が設置された。2005年から2007年にかけて全面改修が行われ、現在も中央ロンドンの主要な動脈として機能している。イギリスの指定建造物グレードII*に登録されている。