モスクワ地下鉄カルージュスコ=リシスカヤ線の駅。1962年開業。低コストの規格設計「百足(ソロコノーシカ)」型の代表例で、白大理石の柱列が等間隔に並ぶ。
§1 — 概要概要
アカデミチェスカヤ駅(Академическая)は、モスクワ地下鉄カルージュスコ=リシスカヤ線(6号線)の駅である。1962年に開業した。フルシチョフ期の「脱スターリン化」のもとで生まれた、低コストの規格設計駅を代表する一例であり、当時量産された百足(ソロコノーシカ)型の柱式駅にあたる。駅名は、かつて付近にあったアカデミーチェスキー通り(ロシア科学アカデミーにちなむ)に由来する。
歴史
1955年の決議によって地下鉄建設は装飾過多なスターリン建築から転換し、工期と費用の圧縮が至上命題となった。本駅が属するカルージュスキー放射線は、新興のチェリョームシキ住宅地(フルシチョフ期の規格集合住宅群)へ延びる路線として計画され、住宅同様に徹底して装飾を切り詰めた設計が採られた。設計はユリヤ・コレスニコワ、イライダ・ペトゥホワ、アンナ・フォーキナが担当した。2003年には壁面が改修され、開業時のタイルがアルミ板に置き換えられている。
建築的特徴
本駅は浅層の百足型柱式駅である。開削工法で築いた箱形の躯体の内部に、2列の柱を等間隔で立ててホーム上部を支える形式で、林立する柱の様子が百足(ソロコノーシカ)の脚に見立てられた。柱は白大理石で覆われ、頂部近くに黒大理石の帯がめぐる。壁面は当初、白タイルに4本の青い水平線を入れた意匠であったが、2003年の改修で同系色のアルミ板に張り替えられ、より平滑で現代的な表情となった。装飾は最小限で、素材と比例のみで空間が構成される。
意義・現在
アカデミチェスカヤは、規格化された地下鉄駅が大量に建設された時代の典型を示す。個々の駅は柱の大理石の色や壁タイルの模様だけが異なり、構造そのものは共通化されていた。芸術的野心よりも、増大する乗客を効率よくさばくことが優先された時代の産物であり、スターリン期の「地下宮殿」とは正反対の価値観を体現している。現在もカルージュスコ=リシスカヤ線の駅として機能している。