バラム駅 Balham tube station
ロンドン南西部、ワンズワース区バラムにある地下鉄ノーザン線の駅。1926年にチャールズ・ホールデンの設計で開業した。1940年の空襲で甚大な被害を受けた歴史でも知られ、駅舎は指定建造物となっている。
§1 — 概要概要
ロンドン南西部、ワンズワース・ロンドン特別区のバラム地区にある鉄道駅である。ロンドン地下鉄ノーザン線の駅と、同名のナショナル・レール(地上鉄道)の駅とが地下通路で結ばれた乗換駅をなす。地下鉄の地上駅舎は、戦間期のロンドン地下鉄を象徴する建築家チャールズ・ホールデンの設計による。明るいポートランド・ストーンの外装と大きなガラス面を特徴とする、近代的な小駅舎である。
歴史
地下鉄駅は、クラパム・コモンからモーデンへ至る路線延伸の一環として1926年に開業した。延伸区間の大半は同年9月13日に開業したが、バラム駅は労働争議による遅れから、同年12月6日に最後に開業している。この延伸線の各駅はいずれもホールデンが手がけ、地下鉄経営者フランク・ピックに登用された彼にとって、地下鉄のための最初の大規模な仕事となった。第二次世界大戦中、バラム駅は深層の防空壕に指定された。1940年10月14日夜、駅北端の路上に大型爆弾が落下してトンネルが破壊され、上方の水道・下水管の破断による浸水で多数の犠牲者を出した。死者数には諸説があり、英連邦戦争墓地委員会は66名としている。線路は復旧され、駅は翌1941年1月12日に再開した。
建築的特徴
駅舎はバラム・ハイ・ロードの両側に入口をもち、地下の歩行者通路でつながれている。狭小な敷地に合わせて計画された地上構造は、白いポートランド・ストーンで仕上げられ、二層分の高さをもつガラス張りのスクリーンを備える。大きなガラス面は券売ホールと通路に自然光を導き入れ、明快で開放的な印象を与える。色ガラスで構成されたロンドン地下鉄のロンデル(円形標識)を大きく掲げる点も、ホールデンの一連の駅に共通する意匠である。装飾を抑えた幾何学的な構成は、モダニズムとアール・デコの双方に通じるものである。
意義・現在
バラム駅の駅舎は、フランク・ピックとホールデンが主導したロンドン地下鉄のデザイン刷新の出発点に位置づけられ、機能性と明快な造形を両立させた戦間期の駅建築を代表する。その建築的価値からグレードIIの指定建造物となっている。一方で1940年の惨事は、空襲下の地下鉄が市民の避難所であると同時に危険をもはらんだことを示す出来事として記憶され、駅には犠牲者を悼む銘板が掲げられてきた。今日もノーザン線の現役駅として、また南西ロンドンの交通結節点として、日々多くの利用者を迎えている。