レイナーズ・レーン駅 Rayners Lane tube station
ロンドン北西部、地下鉄メトロポリタン線・ピカデリー線の駅。1906年に簡易停留所として開業し、1938年にチャールズ・ホールデンとレジナルド・ユーレンの設計で立方体状の煉瓦とガラスの駅舎に建て替えられた。英国の二級指定建築物。
§1 — 概要概要
レイナーズ・レーン駅(Rayners Lane tube station)は、ロンドン北西部に位置するロンドン地下鉄の駅である。メトロポリタン線とピカデリー線のアクスブリッジ支線が乗り入れる。現在の駅舎は1938年に完成したもので、戦間期にロンドン地下鉄が各地に展開したモダニズム駅舎群を代表する一つとして、イングランドの二級指定建築物(Grade II listed)に登録されている。
歴史
路線そのものは、メトロポリタン鉄道がハロー=オン=ザ=ヒルとアクスブリッジを結んで1904年に開業した。当駅は1906年、近隣の農家の名にちなむ「レイナーズ・レーン・ホルト(簡易停留所)」として開設された。当初は吹きさらしの小さな停留所にすぎなかったが、周辺で「ハロー・ガーデン・ヴィレッジ」と呼ばれる住宅開発が進むと、利用者は1930年の年間2万2千人から1937年には400万人へと激増した。これを受けて駅は全面的に建て替えられ、チャールズ・ホールデンとレジナルド・ユーレンの設計による新駅舎が1938年8月8日に開業した。なお1933年には、この区間のディストリクト線がピカデリー線に置き換えられている。
建築的特徴
駅舎の中心は、煉瓦とガラスで構成された大きな立方体状の切符売場(ティケット・ホール)である。高く立ち上がる箱形の空間は、上部に水平の窓帯(クリアストーリー)をめぐらせて自然光を取り込み、平らな鉄筋コンクリートの屋根で蓋をする。これは、ホールデンが1930年代のロンドン地下鉄のために確立した、簡潔な幾何学と素材の率直な表現を旨とする駅舎様式の典型である。装飾を排した量塊と明るい内部空間は、郊外電車の駅に近代建築の品格を与えた。
意義・現在
レイナーズ・レーン駅は、交通インフラとモダニズム建築が結びついた戦間期英国の都市デザインを今に伝える。ホールデンの一連の地下鉄駅は、機能的でありながら街の顔ともなる公共建築のあり方を示し、後の駅舎設計に広く影響を与えた。現在もメトロポリタン線・ピカデリー線の現役駅として使われ、指定建築物として保護されている。