リヘニの聖母大聖堂 Basilica of Our Lady of Licheń
ポーランド中部リヘニ・スタリにそびえる、同国最大の教会。19世紀の聖母出現の伝承に発する巡礼地に、巡礼者の寄進だけを財源として1994年から2004年にかけて建てられた。高さ141.5メートルの塔をもつ、世界有数の大伽藍である。
§1 — 概要概要
リヘニの聖母大聖堂(Basilica of Our Lady of Licheń、ポーランド語: Bazylika Najświętszej Maryi Panny Licheńskiej)は、ポーランド中部、コニン近郊の村リヘニ・スタリに立つカトリックの大聖堂(バシリカ)である。「悲しみの聖母、ポーランドの女王」に捧げられた巡礼地に、巡礼者の寄進だけを財源として1994年から2004年にかけて建てられた。高さ141.5メートルの塔をもち、ポーランド最大、世界でも有数の規模を誇る教会である。
歴史
この地が聖母信仰の中心となった由来は、19世紀の伝承にさかのぼる。1813年、ナポレオン軍に従いライプツィヒ近郊で重傷を負ったポーランド兵トマシュ・クウォソフスキが聖母に祈ったところ、白鷲を抱いた聖母が現れて快復と帰郷を約したと伝えられる。やがて1850年には、近くの森で羊飼いミコワイ・シカトカの前にも聖母が現れたとされ、リヘニは聖母の巡礼地として知られるようになった。主祭壇に掲げられる「悲しみの聖母、ポーランドの女王」のイコンは、18世紀にさかのぼると考えられている。
増えつづける巡礼者を迎えるため、この聖地を司牧するマリア会のエウゲニウシュ・マクルスキ神父の発願により、新たな大聖堂の建設が決まった。キリスト教二千年を記念する奉献として、1994年6月24日に着工。国家の援助に頼らず、巡礼者の献金のみで工事は進められた。1999年には教皇ヨハネ・パウロ2世がこの聖堂を祝別し、2004年に完成・献堂された。
建築的特徴
設計者バルバラ・ビェレツカは、歴史的な様式を引用するポストモダンの折衷的な意匠で、記念碑的な大伽藍をまとめあげた。身廊は長さ120メートル・幅77メートル、中央のドームは高さ98メートル、塔は141.5メートルに達する。外壁は黄土色の大理石で覆われている。
ビェレツカの設計には、ポーランドの風土への目配りが込められている。建物の色は周囲に広がる麦畑を、ポルティコ(柱廊)の柱はポーランドの白樺を、窓は麦の穂を思わせる形に整えられた。内部には、国章である白鷲をはじめ、ポーランドの象徴が散りばめられている。聖堂に据えられたパイプオルガンはポーランド最大の規模をもつ。
意義・現在
リヘニの聖母大聖堂は、20世紀末という新しい時代に、巡礼者自身の手で築かれた信仰の記念碑である。世界最大級の教会建築のひとつとして、また現代ポーランドのカトリック信仰を映す場として、今も多くの巡礼者と訪問者を集めている。