サンタ・クローチェ聖堂 Basilica of Santa Croce
フィレンツェにある世界最大のフランチェスコ会聖堂。一二九四年に着工したゴシック建築で、ジョットの壁画やミケランジェロ、ガリレオらの墓を擁し、「イタリアの栄光の殿堂」と称される。
§1 — 概要概要
フィレンツェの旧市街東部に建つサンタ・クローチェ聖堂は、世界最大のフランチェスコ会のバシリカであり、イタリア・ゴシック建築を代表する一例である。ミケランジェロやガリレオ・ガリレイ、マキャヴェッリら著名なイタリア人が葬られていることから、「イタリアの栄光の殿堂」とも呼ばれる。
歴史
現在の聖堂は、それ以前の建物に替えて一二九四年に着工された。設計はアルノルフォ・ディ・カンビオによると伝えられ、フィレンツェの富裕な家門の寄進によって建設が進められた。一四四二年に教皇エウゲニウス四世によって献堂されている。十六世紀にはヴァザーリの手で内部が改変され、鐘楼は一八四二年に建て替えられた。聖堂の顔となる大理石のファサードは、ユダヤ系の建築家ニッコロ・マータスの設計により、一八五七年から六三年にかけてネオ・ゴシック様式で加えられたものである。
建築的特徴
平面は聖フランチェスコを象徴するT字(タウ十字)形をとり、全長は百十五メートルに及ぶ。フランチェスコ会の清貧の精神を反映した簡素な構成のもと、八角形の柱が身廊と二つの側廊を分かつ。内部には十六の礼拝堂が並び、その多くをジョットとその弟子による壁画が飾る。主廊に付属する回廊には、ブルネレスキの設計が関与したとされるパッツィ礼拝堂が建ち、端正で簡潔な空間として名高い。マータスのファサードには、設計者にちなんでダビデの星が織り込まれている。
意義・現在
サンタ・クローチェ聖堂は、ジョットらの壁画によって初期ルネサンス絵画の流れを今日に伝える美術の宝庫であると同時に、イタリアを代表する人物たちの墓所として国民的な記憶の場ともなっている。堂内には詩人ダンテの記念碑も置かれているが、その遺骸はラヴェンナに眠る。フィレンツェ歴史地区の構成資産としてユネスコ世界遺産に含まれ、訪れる人の絶えない巡礼と観光の地である。