ベルリン・モスク Berlin Mosque
ドイツ・ベルリンのヴィルマースドルフ地区に建つ、ドイツ最古の現存するモスク。1924年から1928年にかけて建設され、ムガル帝国の霊廟を範とした左右対称の構成と二本のミナレットをもつ。
§1 — 概要概要
ベルリン・モスク(ヴィルマースドルフ・モスク)は、ドイツの首都ベルリン西部、シャルロッテンブルク=ヴィルマースドルフ区に建つモスクである。1924年に着工し1928年に開堂した、ドイツに現存する最古のモスクとして知られる。南アジアのイスラーム建築、とりわけムガル帝国の霊廟建築を範として設計され、二本のミナレットと中央の大きな玉ねぎ型ドームを備える。礼拝室は約400人を収容し、付属するイマームの住居とともに、両大戦間期のベルリンに花開いた国際的な信仰共同体の中心となった。
歴史
モスクの建設は、インド発祥のイスラーム改革運動であるライト=アフマディーヤ運動の主導によって進められた。1922年に礼拝共同体が組織され、寄付による資金調達を経て、建築家K・A・ヘルマンの設計のもと1924年に着工された。1928年3月23日に正式に開堂したが、第二次世界大戦では建物が大きな損傷を受けた。戦後に修復が進められ、1999年から2001年にかけては失われていたミナレットが再建されている。ナチス政権下や戦中の苦難を経てなお礼拝の場として維持されてきた点に、この建物の歩みの特質がある。
建築的特徴
建築的には、インドのタージ・マハルを思わせる左右対称の構成が際立つ。淡い色調の外壁の中央に大きなドームを戴き、その両脇に高さ約32メートルの二本のミナレットが屹立する。尖頭アーチや繊細な装飾的細部がムガル様式の語彙を伝える一方、空間の構成や施工技術には20世紀ドイツの近代建築の手法が用いられている。歴史主義的な意匠を近代の材料と技術で実現した、両大戦間期の折衷的な宗教建築の好例といえる。
意義・現在
ベルリン・モスクは、ワイマール期のドイツにおける多様な信仰と国際的な人の往来を象徴する建物であり、ベルリン州指定文化財(Baudenkmal)として保護されている。その異国的なムガル様式の姿は、現在もベルリンの都市景観のなかで際立った存在となっており、ドイツ最古のモスクとして、ヨーロッパにおけるイスラーム共同体の長い歴史を今に伝えている。