イスラーム建築
Islamic architecture年代
632
地域
西アジア・北アフリカを中心に各地
時代
中世
イスラーム建築(Islamic architecture)は、7世紀のイスラーム成立以降、ムスリムの社会で営まれてきた建築の総称である。西アジアを起点に、北アフリカ、イベリア半島、ペルシア、中央アジア、南アジアへと広がり、各地の風土と先行する建築伝統を吸収しながら、地域ごとに多彩な展開を見せた。
中心となる建築類型はモスク(礼拝施設)であり、ほかに神学校(マドラサ)、墓廟、宮殿、隊商宿(キャラバンサライ)、城塞などがある。モスクの平面は、列柱が林立する多柱式(ハイポスタイル)から、中庭に面して大きなアーチ広間を配する四イーワーン形式、オスマン朝が完成させた大ドームで覆う集中式へと、地域や時代に応じて展開した。共通する要素として、尖頭・馬蹄形・多弁などさまざまなアーチ、ドーム、礼拝の方角を示す壁龕(ミフラーブ)、中庭(サフン)、鍾乳石状の装飾(ムカルナス)が挙げられる。礼拝空間では具象表現を避け、幾何学文様、植物を様式化したアラベスク、書(カリグラフィー)によって壁面を覆うのが特徴である。
地域・王朝ごとに様式は分化し、コルドバの大モスクに代表されるスペイン・マグリブのムーア様式、オスマン朝の大ドーム建築、ペルシアやティムール朝の青いタイル装飾、そしてインドのムガル建築などが生まれた。エルサレムの岩のドーム、グラナダのアルハンブラ宮殿、イスタンブールのスュレイマニエ・モスク、アーグラのタージ・マハルは、その代表例として広く知られる。
イスラーム建築は中世に古典的な完成を見たのち、近代以降も各地で継承・展開され、現在に至っている。
§1
代表建築
Buildings§2