カーネギー・ホール・タワー Carnegie Hall Tower
ニューヨーク57丁目に建つ超高層ビル。シーザー・ペリの設計で、隣接するカーネギー・ホールに調和する煉瓦色の細身の塔として1990年に完成した。
§1 — 概要概要
カーネギー・ホール・タワーは、アメリカ・ニューヨーク市マンハッタンの西57丁目に建つ超高層ビルである。高さ231メートル、60階建て。設計はアルゼンチン出身の建築家シーザー・ペリ。隣接する歴史的なカーネギー・ホールに配慮した煉瓦色の外観をもち、敷地の制約から57丁目側の幅がわずか15メートルしかない、完成当時世界でも有数の細身の塔として知られる。
歴史
このタワーは、隣のカーネギー・ホールの運営資金を生む目的もあって、その上空および隣接地の利用権を活かして計画された。デベロッパーは敷地を確保しようとしたが、向かいのロシアン・ティー・ルームが建物も上空権も手放さなかったため、極端に細長い敷地での計画を迫られた。1987年末に着工し、1988年5月に定礎式が行われた。塔は1990年に完成し、翌1991年にはカーネギー・ホールの展示空間として基部が開かれた。著名な演奏会場と一体の敷地に立つという特異な来歴をもつ。
建築的特徴
外壁には、隣接するカーネギー・ホールの色調に呼応する赤褐色の煉瓦と、鋳込みコンクリートの装飾が用いられる。歴史的建築への目配りと現代の高層技術を結ぶ、ポストモダン建築の文脈主義的な作例である。低層部はセットバックした6層の基壇をなし、その上に細長い塔身が立ち上がる。構造はコンクリート造で、二本の連結したコンクリート・チューブを芯とする。57丁目側の幅はわずか15メートルしかなく、高さとの比は完成当時世界でも有数の細さであった。極端に細い平面で高さを確保した、構造的にも巧みな計画である。
意義・現在
カーネギー・ホール・タワーは、周囲の歴史的文脈に応答しながら都市に高さを与えた、ペリのニューヨークにおける代表作の一つである。オフィスのほか、カーネギー・ホールの事務・舞台裏機能を収め、ミッドタウンの密度の高い街区に細身のシルエットを添えている。