ヌオヴォ城 Castel Nuovo
ナポリ旧市街に立つ城郭。1279年にアンジュー家のシャルル1世が築き、15世紀にアラゴン家がカタルーニャ・ゴシックで改築した。二つの円塔に挟まれた大理石の凱旋門はナポリ・ルネサンスの代表作とされる。
§1 — 概要概要
カステル・ヌオーヴォは、イタリア南部の都市ナポリの旧市街に立つ城郭である。「新しい城」を意味するその名は、既存の二つの城と区別するために13世紀に与えられた。アンジュー家からアラゴン家へと続く歴代の王の居城として増改築を重ね、ナポリの政治と文化の中心を担った。海に面した堅固な姿と、白い大理石の凱旋門の対比でよく知られる。
歴史
城は、ナポリを首都と定めたアンジュー家のシャルル1世の命により、1279年に着工され、1282年ごろに最初の姿が整えられた。その設計には、宮廷に仕えた建築家ピエール・ダンジクールが関わったと伝えられる。15世紀にアラゴン家のアルフォンソ1世がナポリを征服すると、城は大規模に改築された。マヨルカ出身の建築家ギリェム・サグレラが工事を指揮し、堅牢な円塔と広間を備えた現在に近い姿が形づくられた。
建築的特徴
城は五つの円塔をもつ堅固な要塞建築であり、その外観は中世のゴシックの城郭の系譜に連なる。二つの塔のあいだに据えられた凱旋門は、アルフォンソ1世のナポリ入城を記念して1453年から1479年にかけて造られたもので、フランチェスコ・ラウラーナら複数の彫刻家が制作に携わった。古代ローマの凱旋門に範をとった白大理石の門は、初期ルネサンスの彫刻装飾をナポリにもたらした記念碑的作品とされる。城内のバローニの間(男爵の広間)はサグレラの設計になり、星形のリブ・ヴォールトが大空間を覆う。
意義・現在
カステル・ヌオーヴォは、中世の城郭建築とルネサンスの装飾が一つの建物のうちに共存する稀有な例として高く評価されている。とりわけ凱旋門は、ナポリにおけるルネサンス美術の出発点を示すものとして美術史上の重要な位置を占める。現在、城内にはナポリ市立美術館が置かれ、絵画や彫刻のコレクションが公開されている。城はナポリの歴史的景観を象徴する建造物として、市民や観光客に親しまれている。