ベオグラードのヴラチャル台地に建つセルビア正教会の大聖堂。守護聖人・聖サワに捧げられ、ハギア・ソフィアに範をとる。1935年の着工後たび重なる中断を経て、2020年に内部装飾が完成した世界有数の正教会建築である。
§1 — 概要概要
聖サワ大聖堂(セルビア語:Храм светог Саве)は、セルビアの首都ベオグラードのヴラチャル台地に建つセルビア正教会の大聖堂である。正教会の聖堂としては世界でも最大級の規模を誇り、コンスタンティノープルのハギア・ソフィアに範をとる。セルビア正教会の祖である聖サワに捧げられ、都市の景観を象徴する存在となっている。
歴史
堂は、1594年にオスマン軍が聖サワの遺骸を焼いたと伝わる場所に建てられた。1926年からの設計競技でボグダン・ネストロヴィッチとアレクサンダル・デロコの案が基礎となり、1935年に着工する。だが第二次世界大戦と戦後の政情によって工事は長く中断した。1985年、建築家ブランコ・ペシッチのもとで工事が再開され、約4千トンの大ドームを地上で組み上げて油圧で持ち上げる難工事を経て、1989年に構造体が完成した。外装は2004年、内部のモザイクは2020年に至ってようやく仕上げられた。
建築的特徴
平面はギリシア十字を基本とする集中式で、ペンデンティヴを介して中央に巨大なドームを架ける。十字頂部の高さは77メートルを超える。壁体は白い大理石と花崗岩で覆われ、構造には鉄筋コンクリートが用いられた。内部は金地のモザイクで埋め尽くされ、ビザンティンの聖堂の荘厳を現代の技術で再現している。
意義・現在
着工から内部完成まで八十余年を要した歩みは、戦争と体制転換に翻弄された二十世紀セルビアの歴史そのものを映す。セルビアの民族的・宗教的アイデンティティの結晶として、また体積において世界屈指の教会建築として、今日のベオグラードを象徴する記念碑である。