聖ペテロ・パウロ教会(ヴィリニュス) Church of St. Peter and St. Paul, Vilnius
リトアニアの首都ヴィリニュス、アンタカルニス地区に立つカトリック教会。1668年、リトアニア大ヘトマンのパツが建設を始めた。簡素な外観とは対照的に、内部は約2,000体の白い漆喰彫刻(ストゥッコ)で埋め尽くされ、ポーランド・リトアニア共和国バロックの傑作とされる。
§1 — 概要概要
聖ペテロ・パウロ教会(Church of St. Peter and St. Paul、リトアニア語: Šv. apaštalų Petro ir Povilo bažnyčia)は、リトアニアの首都ヴィリニュスのアンタカルニス地区に立つローマ・カトリック教会である。簡素な外観の内に、約2,000体に及ぶ白い漆喰彫刻(ストゥッコ)が広がることで知られ、ポーランド・リトアニア共和国時代のバロックを代表する傑作とされる。
歴史
この地には古くから木造の聖堂があったが、17世紀半ば、モスクワ大公国との戦いで破壊された。再建を発願したのは、リトアニア大ヘトマンにして首都の総督でもあったミハウ・カジミェシュ・パツである。ヴィリニュス解放を記念し、また一族の霊廟とすることを望んだパツは、1668年6月29日――聖ペテロと聖パウロの祝日――に建設を起こした。設計はクラクフの建築家ヤン・ザオルが手がけ、1671年まで自ら監督にあたった。建物は1676年に外観を整え、1701年に聖別される。装飾はその後も続き、完成は1704年に及んだ。発願者パツ自身は1682年に世を去り、堂の入口の下に「ここに罪人眠る」と刻まれた墓石とともに葬られた。
建築的特徴
教会は、ラテン十字の平面に、採光のための尖塔(ランタン)をいただくドームを組み合わせた建築である。重厚な正面は二層からなり、独立した円柱が立ち並ぶ――この手法は、リトアニアの教会建築では初の試みであった。だがこの教会の真価は、白一色の内部にある。パツが招いたイタリアの名匠ジョヴァンニ・ピエトロ・ペルティと、装飾を担ったジョヴァンニ・マリア・ガッリが、壁から天井までを埋め尽くす膨大な漆喰の群像をつくり上げた。聖人、天使、寓意像、そして反宗教改革の主題が、彫刻と建築の溶け合う劇的な空間を生んでいる。
意義・現在
ヨーロッパに類を見ないこの漆喰装飾によって、教会は「ヴィリニュスのバロックの宝石」とも称される。1864年には修道院が閉鎖され兵舎に転用されるなど、地域の歴史の波を被ってきたが、内部の意匠は創建当時の姿をよくとどめている。現在も信仰の場であり続けるとともに、リトアニア・バロックの到達点として、多くの来訪者を迎えている。