ロンドン西郊、地下鉄ヒリンドン区の駅。1906年に簡易停留所として開業し、1937〜39年にチャールズ・ホールデンの設計で煉瓦とガラスの箱形駅舎へと建て替えられた、両大戦間のモダニズム駅建築の一例である。
§1 — 概要概要
イーストコート駅は、ロンドン西郊の住宅地イーストコートにある地下鉄駅で、メトロポリタン線とピカデリー線のアクスブリッジ支線が乗り入れる。現在の駅舎は1930年代後半にチャールズ・ホールデン(Charles Holden)の設計で建てられたもので、両大戦間にロンドン地下鉄が各地へ展開した新世代駅舎の典型例として、グレードII指定建造物となっている。
歴史
この区間は、メトロポリタン鉄道がハロー=オン=ザ=ヒルとアクスブリッジを結ぶ路線として敷設し、1904年に開業した。当初の中間駅はルイスリップのみであったが、北ミドルセックスの宅地化が進むにつれて沿線に駅が追加され、イーストコートも1906年に「イーストコート・ホルト」として開かれた。1933年にはこの支線にピカデリー線が乗り入れる。利用の増加を受けて駅は1937年から1939年にかけて全面的に建て替えられ、ホールデンによる現在の駅舎が完成した。
建築的特徴
駅舎の中心をなすのは、煉瓦とガラスによる立方体状の切符売場である。高い壁面に大きなガラス面をとり、その上に平屋根を鉄筋コンクリートで架ける構成は、ホールデンが1930年代の地下鉄駅で繰り返し用いた手法で、装飾を排した幾何学的な量塊が外観を決める。光を豊かに取り込む明るい内部と、簡潔で記念碑的な外観の対比が、この時期の郊外駅に共通する性格である。
意義・現在
ホールデンの地下鉄駅群は、オランダのデュドックや大陸の近代運動に学んだ、イギリスにおけるモダニズム建築の代表的な実践として知られる。イーストコート駅もその系譜に連なる一例であり、駅舎とプラットフォームがあわせて文化財に指定されている。今日も両線が乗り入れる現役の駅である。