エレファント&キャッスル駅 Elephant & Castle tube station
ロンドン中心部南、サザーク区にある地下鉄駅。1890年に世界初の深層チューブ「シティ・アンド・サウス・ロンドン鉄道」の駅として開業し、1906年にはレスリー・グリーン設計の、オックスブラッド色ファイアンスをまとうベイカールー線駅舎が加わった。
§1 — 概要概要
エレファント&キャッスル駅(Elephant & Castle tube station)は、ロンドン中心部南、サザーク・ロンドン特別区のエレファント・アンド・キャッスル地区にあるロンドン地下鉄の駅である。ノーザン線(バンク支線)の途中駅であり、ベイカールー線の南の終点でもある。性格の異なる二つの駅舎が二度の開業を経て一体化した、初期チューブ網の重層的な歴史を体現する駅である。
歴史
ノーザン線側は1890年12月18日、世界初の深層電気チューブ鉄道シティ・アンド・サウス・ロンドン鉄道(C&SLR)の駅として開業した。設計はトマス・フィリップス・フィギスで、揚水機を収める鉛葺きのドームを戴く赤煉瓦の駅舎は、ケニントン駅と共通する初期チューブの様式であった。一方ベイカールー線側は1906年8月5日、ベイカー・ストリート・アンド・ウォータールー鉄道の南の終点として開業し、レスリー・グリーンが設計した。両駅は当初別会社に属したが、同年8月10日に地下通路で接続された。C&SLR側の駅舎はその後1920年代・1960年代・2003年と幾度も建て替えられ、フィギスの建物は現存しない。
建築的特徴
現在も創建時の姿をよく留めるのは、グリーンによるベイカールー線駅舎である。鉄骨フレームに、リーズ・ファイアクレイ社製のオックスブラッド色(牛血色)のファイアンス(施釉テラコッタ)を張り、二階に半円アーチの大窓を並べた平屋根の構成は、UERL(ロンドン電気鉄道会社)が網全体に与えた「ハウス・スタイル」の典型である。平屋根は駅舎の上に別の建物を載せられるよう意図されたもので、本駅でも上層をオフィスが占める。六つのアーチが街路に面し、そのうち二つは店舗に充てられている。
意義・現在
レスリー・グリーンが1903年以降に手がけた約50の駅舎は、オックスブラッド色のファイアンスによって初期チューブ網に統一された視覚的個性を与え、ロンドン地下鉄の原風景を形づくった。エレファント&キャッスル駅の建物は被登録建造物ではないものの、グリーンの「ハウス・スタイル」を今に伝える数少ない現存例の一つである。駅は今日も運転士の車庫を兼ねて運用され、ベイカールー線の南方延伸構想の起点として、将来計画の焦点にもなっている。