EST. 2026 — Editorial Archive of Notable Architecture
ファイサル・モスク
© Ali Mujtaba / CC BY-SA 4.0
FIG. 01 — Q500983

ファイサル・モスク Faisal Mosque

パキスタンの首都イスラマバードに建つ同国の国立モスク。トルコの建築家ヴェダト・ダロカイの設計により1976年から1986年にかけて建設され、ドームを持たずベドウィンの天幕を思わせる八面の傾斜シェルと四本の尖塔から成る、現代イスラーム建築の代表作である。

FIG. 02 — Location33.7297° N 73.0372° E
パキスタン イスラマバード首都圏 イスラマバード
§1 — 概要

概要

ファイサル・モスクは、パキスタンの首都イスラマバードの北端、マルガラ丘陵を背に建つ同国の国立モスクである。サウジアラビアのファイサル国王(在位1964–75)の支援のもとに計画され、トルコの建築家ヴェダト・ダロカイの設計によって1986年に竣工した。完成当時は世界最大のモスクであり、ドームを持たない大胆な造形は、現代イスラーム建築のなかでもひときわ際立つ存在として知られる。

歴史

構想は1966年、ファイサル国王がパキスタンを訪れ、新首都イスラマバードに国家を象徴するモスクを建てる計画を後押ししたことに始まる。1969年には17か国から43案が集まる国際設計競技が行われ、ダロカイの案が選ばれた。建設は1976年に着工し、費用の大半をサウジアラビアが負担した。1975年に暗殺されたファイサル国王を悼み、モスクと参道にはその名が冠されることとなった。工事はおよそ10年を要して1986年に完成し、1986年から1993年まで、収容人数で世界最大のモスクの座にあった。

建築的特徴

最大の特徴は、伝統的なドームを用いず、八面のコンクリート製のシェル構造を組み合わせて主礼拝室の屋根とした点にある。鋭く尖ったその輪郭は、アラビアの砂漠に張られたベドウィンの天幕を思わせる。礼拝室を囲むように四隅へ立つ四本のミナレットは高さおよそ90メートルに及び、南アジアでも最も高い部類に入る。直線的な幾何学が支配する構成は、トルコの建築家ミマール・スィナンの古典的なモスクへの参照を含みつつ、装飾を抑えた近代的な明快さで再解釈したものである。礼拝の方角を示すキブラ側の壁面はトルコと現地の美術家による装飾で飾られ、内部には巨大なシャンデリアが吊られる。

意義・現在

ファイサル・モスクは、ドームと尖頭アーチという様式的記号に頼らずにモスクの本質を表現しようとした、20世紀後半のイスラーム建築における野心的な試みである。設計者ダロカイはこの仕事によりアガ・カーン建築賞を受けた。緑の丘陵を背に白く輝く姿はイスラマバードの象徴として広く親しまれ、パキスタンの紙幣にも描かれている。礼拝の場であると同時に、国内外から訪れる人を迎える、同国を代表する建築でもある。

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LAST EDIT — 2026.06.26
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