ローマのボルゲーゼ公園内にある国立美術館。枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが夏の別荘として1610年代に建てさせた初期バロックのヴィラで、ベルニーニやカラヴァッジョの傑作を収める。
§1 — 概要概要
ボルゲーゼ美術館(Galleria Borghese)は、ローマのボルゲーゼ公園の一画に建つ国立美術館である。建物はもと「ヴィラ・ボルゲーゼ・ピンチアーナ」と呼ばれる別荘(ヴィラ)で、教皇パウルス5世の甥である枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが、自らの美術収集を収め披露するために築かせた。
歴史
建設は1613年ごろに始まり、1616年ごろに完成した。設計はフラミニオ・ポンツィオが手がけ、その死後はオランダ出身のジョヴァンニ・ヴァサンツィオ(ヤン・ファン・サンテン)が引き継いだ。施主シピオーネ自身の構想も反映されている。シピオーネは若き日のベルニーニを見いだし、カラヴァッジョを熱心に蒐集したパトロンであった。19世紀初頭にはナポレオンによって多くの古代彫刻が持ち出されルーヴルに移されたが、絵画・彫刻の優品は今も数多く伝わる。建物が国立美術館として一般公開されたのは1903年のことである。
建築的特徴
郊外の別荘(ヴィラ・スブルバーナ)として、もとは庭園と一体に構想された。中央の主屋から左右に翼屋を張り出す構成をとり、ファサードは古典的なオーダーで整えられつつ、彫刻やレリーフで豊かに装飾される。室内は天井画やスタッコで華やかに飾られ、収蔵品を引き立てる舞台として設えられた、初期バロックの邸館建築である。1階に彫刻、2階に絵画を配する展示の構成も、もとの邸館の空間を生かしている。
意義・現在
建物そのものが美術品を見せるための器として構想された点に、収集家文化の頂点をなしたボルゲーゼ家の趣味が表れている。ベルニーニの『アポロンとダフネ』『プロセルピーナの略奪』をはじめ、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョらの名作を収め、現在も予約制で公開される世界有数の美術館として知られる。