インド・ムンバイの海岸に建つ玄武岩の凱旋門。英国王ジョージ5世の1911年来印を記念し、ジョージ・ウィッテットの設計でインド・サラセン様式により1924年に竣工した。
§1 — 概要概要
インド門(Gateway of India)は、インド西海岸の都市ムンバイ(旧ボンベイ)の海辺、アポロ・バンダーに建つ記念門である。高さ約26メートルの玄武岩造のアーチで、イギリス国王ジョージ5世とメアリー王妃の1911年の来印を記念して建てられた。インドの伝統的意匠とイスラーム建築、西洋の構成を折衷したインド・サラセン様式の代表作であり、海から都市へ入る象徴的な門として、またムンバイを代表するランドマークとして知られる。
歴史
1911年12月、ジョージ5世はインド皇帝として戴冠するデリー・ダーバーに臨むため、英国君主として初めてインドを訪れ、アポロ・バンダーに上陸した。その記念碑として門を建てる構想が生まれ、礎石が据えられたが、王夫妻が目にしたのは仮設の模型にすぎなかった。スコットランド出身の建築家ジョージ・ウィッテットによる最終設計は1914年に承認された。1915年から1919年にかけて門を建てるための海岸の埋め立てと防潮壁の構築が進められ、基礎が1920年に完成すると本体の建設が始まった。第一次世界大戦後の困難な時期に約210万ルピーを投じて工事は続けられ、1924年に竣工、同年12月4日にインド総督リーディング侯爵によって開門された。1948年には、独立後にインドを去る最後の英軍部隊がこの門をくぐっており、植民地支配の終焉を象徴する場ともなった。
建築的特徴
門は黄色みを帯びた玄武岩を主材とし、基礎には鉄筋コンクリートを併用する。形式は西洋の凱旋門に範をとりつつ、細部には16世紀グジャラート地方の建築に由来するインド的意匠が織り込まれている。中央の大アーチの上には直径約15メートルのドームが載り、壁面には繊細な格子状の石彫であるジャーリーや花文様が施される。西洋古典の記念門の骨格に在地の装飾を接ぎ木する手法は、英領インドで官製建築として展開したインド・サラセン様式の典型を示している。
意義・現在
インド門は、植民地時代の権威の象徴として構想されながら、独立とともにその意味を反転させ、英国支配の終わりを刻む記念物となった歴史をあわせ持つ。今日ではムンバイ随一の観光名所であり、対岸のタージマハル・パレス・ホテルとともに同市の海辺の景観を象徴している。州の保護記念物に指定され、近年は大規模な修復も行われた。アラビア海に面して建つその姿は、しばしば「ムンバイのタージ・マハル」とも称される。