パリ西郊ラ・デファンスに建つ、一辺110メートルの巨大な立方体の門。ルーヴルから凱旋門へと延びる歴史軸の延長線上に置かれ、ミッテラン大統領の大プロジェクトの一つとして1985〜1989年に建設された。設計はデンマークの建築家ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセン。
§1 — 概要概要
パリ西郊の業務地区ラ・デファンス(ピュトー市)に建つ、巨大な立方体の門。一辺は約110メートルにおよぶ。中央が大きく刳り貫かれた中空の構造で、現代版の凱旋門として構想された。ルーヴル美術館からコンコルド広場、シャンゼリゼ通り、凱旋門へと一直線に延びる「歴史軸(アクシ・イストリク)」の延長線上に正確に据えられ、都市のスケールで過去と現在を結ぶ。フランソワ・ミッテラン大統領が推進した一連の「大プロジェクト(グラン・プロジェ)」を代表する建築である。
歴史
1982年、ミッテラン大統領の主導で国際的な設計競技が行われ、デンマークの建築家ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセンと、同じくデンマークの技師エリック・ライツェルによる案が選ばれた。軍事的勝利ではなく、人類と人道の理念に捧げる門という構想であった。建設は1985年に始まったが、スプレッケルセンは1986年に職を退き、設計の責任を協働者であったフランスの建築家ポール・アンドリューに託す。スプレッケルセンは竣工を見ることなく1987年に世を去った。ライツェルは構造の実現を最後まで担い、建物は1989年に完成、同年7月にフランス革命200周年を祝う式典とともに落成した。2010年には屋上が事故により閉鎖され、剥離し始めていた大理石は花崗岩に張り替えられて、2017年に再び公開された。
建築的特徴
構造の主題は、内部を刳り貫いた純粋な立方体である。中空の開口部はノートルダム大聖堂がすっぽり収まるといわれるほどの大きさをもち、白い大理石(後に花崗岩)とガラスで覆われた面が幾何学的な厳格さを際立たせる。二枚の高層棟が左右の脚をなし、これらを上部の巨大なスラブが架け渡す門型の架構を、内部のコアと斜材が支える。中空部には「雲」と呼ばれるテント状の構築物が吊られ、外部エレベーターが屋上へと昇る。装飾を排し、抽象的な量塊と軸線の力だけで記念性を打ち立てる手法は、20世紀末の構造表現のひとつの到達点を示す。
意義・現在
グランダルシュは、ルーヴルから凱旋門へと続く三世紀越しの都市軸を、現代において締めくくる記念碑である。両脚の高層棟には官公庁や企業のオフィスが入り、屋上は展望・展示の空間として用いられてきた。建築家の母国デンマークと、これを完成させたフランスとの協働から生まれた点でも象徴的な作品であり、ラ・デファンスの摩天楼群のなかで、抽象幾何学による別格の存在感を保ち続けている。
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