アイスランドの首都レイキャヴィークの丘に建つルーテル派の教会。玄武岩の柱状節理に着想した湾曲する塔をもち、完成以来この国の国民的象徴とされる。
§1 — 概要概要
ハットルグリムス教会(Hallgrímskirkja)は、アイスランドの首都レイキャヴィークの丘の上に建つルーテル派(アイスランド国教会)の教会である。高さ74.5メートルの塔をもち、国内最大の教会にして二番目に高い建造物である。湾曲しながらせり上がる独特の正面と翼部の造形で知られ、完成以来アイスランドの国民的象徴とみなされてきた。名は17世紀の詩人・牧師ハットルグリムル・ペートゥルソンに由来する。
歴史
設計は、アイスランドを代表する建築家グズヨン・サムエルソンが1937年に手がけた。建設は1945年に始まり、財政や資材の制約から長い歳月を要して、完成は1986年に至った。塔を含む前面が先に整えられて礼拝に用いられ、身廊を含む全体の竣工をもって、半世紀近い工事が締めくくられた。建設なかばの1974年にはアイスランド入植1100年を、完成の1986年にはレイキャヴィーク市制200年を迎え、この教会は近代アイスランドの歩みと時を重ねた。
建築的特徴
正面の塔は、中央が高くそびえ、左右に段状の翼が階段のように下りていく。この造形は、アイスランドの大地に見られる玄武岩の柱状節理を抽象化したものとされ、火山島の風土を建築の形へ翻訳している。様式としては表現主義建築に位置づけられ、装飾を排した白いコンクリートの量塊が、垂直の線条によって天へと導かれる。内部は簡素で高く、5275本のパイプをもつ大オルガンが据えられている。
意義・現在
ハットルグリムス教会は、輸入された様式の模倣ではなく、土地固有の自然から形を引き出そうとしたサムエルソンの「国民様式」の到達点である。レイキャヴィーク市街のどこからも望めるその姿は、都市の地理的な中心であると同時に文化的な核ともなっている。塔の展望台は街と周囲の山々を一望する場として、今日も多くの人を集めている。