ノルウェー西岸の港町。1904年の大火で焼失した市街を、石と煉瓦のユーゲント・シ…
ブリュッセルに立つ、ヴィクトール・オルタ設計の邸宅。1893〜94年に建てられ、鉄の構造を植物のような曲線の装飾へと昇華させた、史上初の本格的なアール・ヌーヴォー建築とされる。
§1 — 概要タッセル邸(Hôtel Tassel)は、ベルギーの首都ブリュッセルに立つ邸宅で、ヴィクトール・オルタが設計した。1893年から1894年にかけて建てられ、史上初の本格的なアール・ヌーヴォー建築としばしば呼ばれる、記念碑的な作品である。
科学者エミール・タッセルの依頼で、都市の狭い間口の敷地に建てられた。オルタは、それまでの歴史的様式のいずれにも頼らず、新しい時代の住宅の言語を一から組み立てた。この建物の成功によって、ブリュッセルはアール・ヌーヴォーの一大中心地となる。2000年、オルタの主要な邸宅群の一つとして世界遺産に登録された。
最大の革新は、鉄の構造を隠さず、それを装飾そのものへと変えた点にある。中央階段の吹き抜けでは、露出した鉄の柱や梁から、植物の蔓のような曲線(ホイップラッシュ曲線)が伸び広がり、壁画やモザイク、ステンドグラスの曲線と響き合う。家具や手すり、床のタイルにいたるまで同じ曲線が貫き、室内全体が一つの有機的な作品となった。工業の素材である鉄を、生命感あふれる優美な曲線へと昇華させた逆説に、この様式の本質がある。
タッセル邸は、過去の様式に背を向けて生まれた最初のアール・ヌーヴォー建築として、デザイン史にゆるぎない位置を占める。鉄とガラスを装飾の言語として用いるその手法は、ヨーロッパ各地に波及した。現在も世界遺産として保存されている。
ノルウェー西岸の港町。1904年の大火で焼失した市街を、石と煉瓦のユーゲント・シ…