ベラルーシ西部フロドナ、ネマン川を望む高台に建つ12世紀の正教会堂。色石と壺を壁に埋め込んだ独特の意匠で知られ、黒ルーシのフロドナ建築派を伝える唯一の遺構である。
§1 — 概要概要
カロジャ教会(ベラルーシ語:Барысаглебская царква на Каложы、聖ボリス・グレプ教会)は、ベラルーシ西部の都市フロドナ(ロシア語名グロドノ)に建つ12世紀の正教会堂である。フロドナに現存する最古の建造物であり、中世の黒ルーシ(チョルナヤ・ルーシ)に栄えた独自の建築の、まとまって残る唯一の遺構として知られる。
歴史
教会は1183年以前に建てられたとされる。ネマン川の高い岸に立つという立地のため地盤が不安定で、1853年に南側の壁が川へ崩落した。19世紀半ばまでの姿は画家ミハウ・クレシャの記録に残る。崩れた部分は後に補修され、修復の過程でアプスから12世紀のフレスコ断片が見いだされた。フロドナやヴァウカヴィスクでは、同じく壺と色石で飾られた同系統の教会の遺構が複数発見されており、いずれも12〜13世紀の境に位置づけられる。これらは総称してフロドナ建築派と呼ばれる。
建築的特徴
平面は六本の円柱が支える十字型のクロスドーム式で、外壁は丸みを帯びたピラスター(付柱)で分節される。最大の特徴は壁面の意匠にある。青・緑・赤に発色する研磨した多色の石を壁に埋め込み、十字などの図像を描き出す。さらに壁面には無数の素焼きの壺が、口を外に向けて塗り込められている。正教会堂で壺は通常、音響を整える共鳴器として用いられるが、ここでは装飾としての効果がねらわれており、そのため中央の身廊は一度も壁画で覆われたことがない。
意義・現在
カロジャ教会は、キエフ・ルーシ圏の建築が地方で独自の展開を見せた稀有な例である。フレスコに頼らず、色石と壺という素材そのものの効果で壁面を構成する手法は、ほかに類を見ない。2004年にユネスコ世界遺産の暫定リストに記載された。今も建物は残り、フロドナの歴史的景観を象徴する存在となっている。