ポーランドの首都ワルシャワに建つ国立競技場。UEFA EURO 2012に向け、ドイツのgmpとワルシャワのJSK Architekciが設計し、シュライヒ・ベルガーマンが構造を担って2011年に竣工した。ポーランド国旗を思わせる赤と銀の外装をまとい、中央のマストから開閉する膜屋根を備える、同国最大のサッカー競技場である。
§1 — 概要概要
ワルシャワ国立競技場(Stadion Narodowy、2015年以降の通称はPGEナロドヴィ)は、ポーランドの首都ワルシャワに建つ多目的競技場で、サッカー・ポーランド代表の本拠地である。2012年のUEFA欧州選手権(ポーランド・ウクライナ共催)の主会場として、ドイツのgmp(フォン・ゲルカン・マルク・アンド・パートナーズ)とワルシャワのJSK Architekciが設計し、屋根と外装の構造はシュライヒ・ベルガーマン・パートナーが手がけた。収容人員はサッカー時で約5万8千人に及ぶ、ポーランド最大のサッカー競技場である。2021年には、ポーランド代表を率いた名将カジミェシュ・グルスキの名を冠する正式名称となった。
歴史
建設地は、1955年に開場し1980年代に放棄された旧「十周年記念競技場」の跡地である。2007年にJSK Architekciを軸とする設計者が選定され、2008年2月にgmp・JSK・シュライヒ・ベルガーマンによる共同設計案が公表された。同年5月、旧競技場の盛土に杭を打ち込む工事から建設が始まった。屋根の大規模な吊り上げ(「ビッグ・リフト」)は2011年初頭に完了し、建設工事は2011年11月29日に正式に終了した。当初の予定より遅れ、正式な開場式は2012年1月29日に、コンサートと花火で祝われた。
建築的特徴
競技場は、プレキャストのコンクリート製スタンドと、その上に架かる軽量の屋根とで構成される。自立する支柱から張られたスチールのワイヤー網に膜を吊る膜構造を採り、中央のマストの「巣」から放射状に展開する開閉式屋根が、ピッチまで覆うことができる。屋根の開閉にはおよそ20分を要し、気温5度以上・降雨時以外という条件のもとで行われる。外装は陽極酸化処理を施した網状の金属で覆われ、ポーランド国旗にちなむ赤と銀に塗られて、遠くからも見える都市のランドマークとなっている。籠を思わせる楕円形のかたちは、周囲の公園のなかでひときわ際立つ。
意義・現在
ワルシャワ国立競技場は、国際大会の開催という政治的・社会的な要請が、最新の構造・素材技術を一気に呼び込んだ典型例である。ケーブルと膜による開閉式屋根は当時ヨーロッパでも先端的な試みであり、竣工の翌年には国際的なスタジアム賞を複数受けた。EURO 2012の開幕戦の舞台となったほか、サッカーの代表戦やコンサート、各種競技に用いられ、首都の多目的アリーナとして定着している。