スウェーデンのストックホルム中心部にあるルター派教会。13世紀の修道院に始まり、現在の聖堂は1577–1590年に建てられた。1751年の火災後にカール・ホーレマンが再建し、116mの尖塔はヘルゴ・ゼッテルヴァルが1880年代に加えた。
§1 — 概要概要
クララ教会(Klara kyrka)は、スウェーデンの首都ストックホルム中心部のノルマルム地区に建つルター派の教会である。聖クララ(聖キアラ)に捧げられている。13世紀の修道院に起源をもち、現在の建物は16世紀から19世紀にかけての複数の建設・改修が積み重なって成立した。116メートルの尖塔をもち、ウプサラ大聖堂に次ぐスウェーデン第二の高さの教会として知られる。一帯の「クララ」という地名は、この教会に由来する。
歴史
この地には1280年代に聖クララ修道院が置かれていたが、宗教改革を進めた国王グスタフ・ヴァーサにより1527年に取り壊された。現在の教会は、国王ヨハン3世のもとで1577年に着工され、1590年に完成した。建設は、ネーデルラントから渡来した二人の棟梁、ウィレム・ボイとヘンドリク・ファン・ヒューウェンが担い、ルネサンス様式の聖堂が建てられた。その後たびたび手が加えられ、1726年には塔が築かれた。1751年の火災で被災すると、翌年から上級建築監督カール・ホーレマンの設計で再建され、堂内はバロックの趣を強めた。さらに1884年から1886年にかけてはヘルゴ・ゼッテルヴァルが大規模な修復を行い、塔とファサードは現在のネオ・ゴシックの姿となった。20世紀にも内部装飾の更新や、1963年から1965年のアルトゥール・フォン・シュマレンゼーによる修復が重ねられている。
建築的特徴
平面はラテン十字を基本とし、身廊の西側に高い塔を戴く。建物の表情は重層的で、躯体は16世紀以来のルネサンス=バロックの骨格をとどめつつ、外観を特徴づける細く高い尖塔と尖頭アーチの装飾は、19世紀のゼッテルヴァルによるネオ・ゴシックの修復に負うところが大きい。鋭く天を突く116メートルの塔は、平坦な市街にあって遠望のきくランドマークとなっている。塔には1965年に鋳造された35鐘のカリヨンが収められ、時を告げる。歴代の建築家や装飾家の仕事が幾重にも積み重なった、いわば「増改築の年輪」を読み取れる建築である。
意義・現在
クララ教会は、一つの様式の純粋な達成としてではなく、四世紀にわたる建設と再建の堆積として価値をもつ。ルネサンスの聖堂が、火災と修復を経てバロックやネオ・ゴシックの層を重ねていく過程は、ヨーロッパの教会建築が時代ごとの様式をまといながら更新されてきたことを物語る。墓地には18世紀の詩人・作曲家カール・ミカエル・ベルマンが葬られている。現在はスウェーデン福音宣教団が活動を担い、都心の祈りの場として用いられている。