スウェーデン南部スコーネ地方の大聖堂。デンマーク領時代の12世紀に北イタリア=ラインラントの影響下で建てられた、北欧ロマネスクを代表する砂岩造の聖堂。1145年に主祭壇が奉献された。
§1 — 概要概要
ルンド大聖堂(Lunds domkyrka)は、スウェーデン南部スコーネ地方のルンドに建つ大聖堂である。建設当時この地はデンマーク領であり、聖堂は北欧全体を統べる大司教座の聖堂として建てられた。砂岩造の堂々たる構えは「北欧ロマネスクの最も力強い代表」と称され、スウェーデンで現役のまま使われ続ける最古級の石造建築の一つである。
歴史
ルンドが北欧の大司教座に昇格した12世紀初頭、現在の大聖堂の建設が始まった。ライン地方や北イタリアから石工が招かれ、「ドナトゥス」と伝わる棟梁の名が記録に残るが、その役割の詳細は定かでない。地下聖堂(クリプト)の主祭壇は1123年に、聖ラウレンティウスに捧げられた主祭壇は1145年に奉献され、この時までに聖堂の主要部はおおむね完成していた。双塔が建てられたのは、やや遅れてのことである。1234年の火災で大きな被害を受けた後、木造の天井は煉瓦のヴォールトに架け替えられた。16世紀初頭にはアダム・ファン・デューレンが修復を担い、宗教改革と1658年のスウェーデン編入を経て、1668年にはこの聖堂でルンド大学創立の式典が営まれている。
19世紀には大規模な修復が行われた。まずカール・ゲオルク・ブルニウスが、続いて1860年からヘルゴ・ゼッテルヴァルが引き継ぎ、ゼッテルヴァルは老朽化した西側正面と双塔をいったん取り壊して、自らのネオ・ロマネスク様式で建て直した。今日見られる尖塔状の双塔(高さ約55メートル)は、このときの設計による。20世紀にはエイレル・グレーベが1954年から修復を主導している。中世の建築と近代の修復が分かちがたく重なる点に、この聖堂の現在の姿がある。
建築的特徴
平面はラインラント=ロンバルディアの影響を示し、上部にアーチの並ぶ小ギャラリーを戴くアプス、太い円柱が林立する地下聖堂、交差ヴォールトで覆われた身廊を特徴とする。地下聖堂には、柱に取りついた人物像「巨人フィン」の伝説が残る。1424年製の精巧な天文時計(ホロロギウム)も名高い。
意義・現在
北欧におけるロマネスク建築の到達点でありながら、その西側の姿の多くは19世紀の修復が与えたものである。ルンド主教座の中心として、今も日々の礼拝が営まれている。