キングス・クロス駅 London King's Cross railway station
ロンドン北縁に建つ鉄道ターミナル。1852年にグレート・ノーザン鉄道が開業させ、ルイス・キュービットが設計した。二連の半円アーチを並べた機能主義的な前面で知られ、2012年にはジョン・マカスランによる白い扇状の西コンコースが加わった。
§1 — 概要概要
キングス・クロス駅(London King's Cross railway station)は、ロンドン中心部の北縁、カムデン特別区に位置する鉄道ターミナルである。1852年にグレート・ノーザン鉄道がイースト・コースト本線の終点として開設し、現在もイングランド北東部やスコットランド方面への長距離列車が発着する英国有数の主要駅である。地下を通る地下鉄駅や、隣接するセント・パンクラス駅とともに、国内最大級の交通結節点を形成している。
歴史
駅舎の設計は、邸宅建築で知られた建築業者トマス・キュービットや土木技師ウィリアム・キュービットを兄にもつルイス・キュービットが手がけ、1851年から1852年にかけて建設された。開業後も需要の増大に応じて19世紀を通じて拡張が重ねられた。1972年には正面に平屋の仮設コンコースが増築されたが、これがキュービットによる前面を長く覆い隠す結果となった。21世紀の大規模再開発で仮設棟は撤去され、2012年にはジョン・マカスランの設計による西コンコースが開業、翌2013年には駅前広場キングス・クロス・スクエアが整えられた。
建築的特徴
当初の駅は、二つの大きな半円アーチを並べた列車庫を要とし、その妻面を黄色い煉瓦の壁が素直に映し出す。装飾を抑え、鉄道という機能をそのまま外観に表した構成は、ヴィクトリア朝の駅舎のなかでも明快なものとして評価される。正面には高さ約34メートルの時計塔が立つ。2012年の西コンコースは、既存の躯体を避けて放射状に広がる白い半円形の屋根架構をもち、歴史的な前面とは対照的な軽やかさで好対照をなしている。
意義・現在
キングス・クロス駅は、英国の終端駅建築の代表例として第一級指定建築物に登録されている。近年は周辺の旧鉄道用地が再開発され、キュービット設計の穀物倉が美術系大学の校舎へ転用されるなど、地区全体の再生の核となっている。また、小説『ハリー・ポッター』に登場する「9と4分の3番線」の舞台として広く知られ、世界中から観光客を集める存在でもある。