マルセイユ大聖堂 Marseille Cathedral
マルセイユ旧港に近い海辺に建つカトリックの大聖堂。1852年に着工し1893年に完成した、ネオ・ビザンティン様式を代表する19世紀の巨大建築で、緑と白の縞状石積みと連なるドームが港を見はるかす。
§1 — 概要概要
マルセイユ大聖堂(Cathédrale Sainte-Marie-Majeure、通称ラ・マジョール)は、フランス第二の都市マルセイユの旧港に近い海辺に建つカトリックの大聖堂である。マルセイユ大司教区の司教座聖堂であり、1852年から1893年にかけて建設された。ネオ・ビザンティン様式の代表作として知られ、緑色と白色の石を交互に積んだ縞模様の外壁と、複数のドームが連なる東方的な外観をもつ。
歴史
現在の大聖堂は、中世以来この地にあった旧大聖堂に代わるものとして、第二帝政期の国家事業として計画された。基本設計を手がけたのはレオン・ヴォードワイエで、1852年に着工した。ヴォードワイエの死後は現場を率いていたアンリ・ジャック・エスペランデュが建設を主導し、その没後はアンリ・レヴォワルが工事を引き継いで、1893年に完成をみた。四十年余りにおよぶ長い工期のあいだに、内外の装飾やモザイクが段階的に整えられていった。
建築的特徴
様式は、ビザンティンとロマネスクを折衷した、いわゆるロマノ・ビザンティンである。中央交差部に大きなドームを頂き、正面には双塔と半円アーチの入口が並ぶ。ビザンティン建築特有の、方形の平面に円蓋を架けるためのペンデンティヴが用いられ、内部は多彩色の大理石や斑岩、金地のモザイクで覆われる。緑と白の縞状石積みは、イタリア・ロマネスクの聖堂を思わせると同時に、東地中海世界への参照ともなっている。
意義・現在
ラ・マジョールは、19世紀フランスにおける歴史主義建築の到達点のひとつであり、地中海に開かれた港湾都市マルセイユの記念碑として今日も親しまれている。フランスの歴史的記念物(monument historique)に指定され、現在も現役の司教座聖堂として礼拝に用いられるほか、周囲の再開発によって海辺の文化拠点の一角を担っている。