ストックホルムのフムレゴーデン公園に建つ、スウェーデンの国立図書館。1661年に起源をもつ同館が1878年に移った、グスタフ・ダール設計のネオルネサンス建築である。
§1 — 概要概要
スウェーデン国立図書館(Kungliga biblioteket、「王立図書館」の意)は、ストックホルム中心部のフムレゴーデン公園に建つ、スウェーデンの国立図書館である。スウェーデン国内で刊行された全出版物を網羅的に収集・保存する責務を負い、世界有数の規模の蔵書をもつ。機関としての起源は古いが、公園内に建つ現在の建物は、建築家グスタフ・ダールの設計により1870年代に新築されたネオルネサンス様式の建築である。
歴史
出版物の納本義務は、1661年の枢密院布告にさかのぼる。これにより国内の印刷業者は、刊行物を国立図書館などへ納める義務を負い、これが同館の蔵書形成の基礎となった。長らく蔵書はストックホルム宮殿内に置かれていたが、手狭となったため、フムレゴーデンに専用の建物が計画された。1871年7月に礎石が据えられ、約七年の工期を経て建物が完成。1877年に図書館が移転し、1878年1月2日に開館した。1920年代には両翼が増築され、その後も改修を重ねながら今日に至る。
建築的特徴
建物の構造は、当時としては先進的な鋳鉄を用いた点に特徴がある。れんが壁と鋳鉄の柱、鉄の床版を組み合わせた構法は、スウェーデンでも最初期の試みの一つであった。これにより、柱の少ない開放的な平面と、高い天井・大きな窓をもつ明るい大空間が実現した。外観はネオルネサンス様式でまとめられ、中央部を一段高いピラスター付きのリザリット(突出部)として強調する。内部では、二列に並ぶ鋳鉄の高い円柱とギャラリーをもつ大閲覧室が、創建時の意匠をよく残している。
意義・現在
スウェーデン国立図書館の建物は、19世紀後半の歴史主義建築でありながら、鋳鉄という新素材を大胆に用いた技術的な先進性をあわせもつ点で重要である。学術機関にふさわしい格式を備えた外観と、機能的で明るい内部空間との両立は、同時代の図書館建築の好例といえる。建物は1935年にスウェーデンの国定建造物(statligt byggnadsminne)に指定され、創建時の閲覧室や玄関広間は保存の対象となっている。現在も国立図書館として活動を続け、研究者を中心に広く利用されている。