ハイチの首都ポルトープランスにあった大統領官邸。建築家ジョルジュ・ボーザンの設計で1914年に着工し、1920年に竣工した。白亜の鉄筋コンクリート造で、2010年の大地震で被災し、2012年に解体された。
§1 — 概要概要
国立宮殿(フランス語: Palais national)は、ハイチの首都ポルトープランスに建っていた大統領官邸である。シャン・ド・マルス近く、ルヴェルチュール広場に面して建ち、長く同国の政治の中心を象徴した。設計はハイチを代表する建築家ジョルジュ・ボーザンによる。
歴史
先代の宮殿が1912年の爆発で失われたのち、新たな官邸の設計が国内のコンペで募られ、ボーザン案が採用された。建設は1914年5月に始まったが、1915年の政変で工事中の建物が焼損し、続くアメリカ合衆国の占領下で、海軍の工兵らの手によって工事が引き継がれ、1920年に完成した。以後、約一世紀にわたり歴代大統領の官邸として用いられた。2010年1月のハイチ地震では中央のドームが崩落するなど甚大な被害を受け、残された瓦礫は2012年に撤去された。
建築的特徴
白く塗られた鉄筋コンクリート造で、平面はEの字形をなし、三つの翼を背面へ伸ばした。中央にはドームを戴く玄関棟が立ち、四本のイオニア式円柱が正面を飾った。左右対称の構成と古典的な装飾は、ボーザンがパリで学んだボザールの規範に立ち、19世紀フランスとその植民地に築かれた官庁建築の系譜を引く。白く穏やかな量塊は、しばしばワシントンのホワイトハウスにもなぞらえられた。
意義・現在
近代ハイチ国家の威信を体現した建物として、首都の象徴であり続けた。地震で崩れたドームの姿は、国民的な喪失の象徴ともなった。2017年に再建が表明され、設計コンペも行われたが、本格的な工事には至っていない。敷地と付属建物は、現在もなお行政の拠点として用いられている。
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Related※ 写真は2010年の地震による被災・2012年の解体以前の旧国立宮殿。建物は現存しない。