ウィーン自然史博物館 Natural History Museum, Vienna
ウィーンのマリア・テレジア広場に建つ自然史博物館。向かいの美術史博物館と双子の外観をもち、ゼンパーとハーゼナウアーの設計で1889年に開館した、歴史主義建築の代表作である。
§1 — 概要概要
ウィーン自然史博物館(ドイツ語: Naturhistorisches Museum Wien)は、オーストリアの首都ウィーン、リンク通りに面したマリア・テレジア広場に建つ自然史博物館である。広場をはさんで向かい合う美術史博物館と双子のように同一の外観をもち、19世紀ウィーンの歴史主義建築を代表する一棟である。3千万点を超える収蔵品を擁する、オーストリア有数の博物館にして研究機関でもある。
歴史
コレクションの起源は18世紀、神聖ローマ皇帝フランツ1世が1750年に購入した当時最大級の自然史標本群にさかのぼる。皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の命により、城壁を取り払って整備されたリンク通りの再開発の一環として建設が決まり、設計をゴットフリート・ゼンパーとカール・フォン・ハーゼナウアーが担った。両館はハプスブルク家の収集品を公開する帝室博物館として構想され、王朝の威信を都市の景観に刻むものであった。1871年に着工し、1881年にファサードが完成、1889年8月10日に開館した。
建築的特徴
左右対称の堂々たるファサードはイタリア・ルネサンスを範とし、付柱・破風・彫像によって重層的に飾られる。中央にドームを戴く全長約170メートルの建物は、内部に壮麗な大階段と吹き抜けの空間をもつ。外壁や内装の彫刻・絵画は自然科学の主題と緻密に結びつけられ、建築そのものが知の体系を映す装置として構想された点に特色がある。頂部の円蓋や屋根上の彫像群が、建物に知の殿堂としての記念性を与えている。
意義・現在
向かいの美術史博物館とともに、博物館建築を都市の記念碑へと押し上げた歴史主義の到達点である。創建以来の展示空間の多くを今に伝え、鉱物・隕石・古生物から人類学にいたる広範な常設展示で知られる。19世紀の博物学の理想を体現した空間として、ウィーンの文化的景観を構成する重要な一棟であり続けている。