NEMO科学ミュージアム NEMO Science Museum
アムステルダムの港に立つ科学博物館。レンゾ・ピアノが設計し、1997年に開館した。港の水面からせり上がる船体状の姿と、緑青に覆われた銅板の外皮で知られる。1923年創立の労働博物館を起源とする、オランダ最大の科学センターである。
§1 — 概要概要
NEMO科学ミュージアム(NEMO Science Museum)は、オランダ・アムステルダムの東港地区(オーステルドク)に立つ科学博物館である。イタリアの建築家レンゾ・ピアノが設計し、1997年に開館した。港の水面からせり上がる船体のような形と、緑青に覆われた銅板の外皮で広く知られ、オランダ最大の科学センターとして年間およそ70万人を集める。
歴史
博物館の起源は1923年、芸術家ヘルマン・ハイエンブロックがアムステルダムに開いた「労働博物館(Museum van den Arbeid)」にさかのぼる。施設は1954年にオランダ産業技術研究所(NINT)へ、1997年にはニューメトロポリスへと改称し、2000年に「サイエンスセンター・ネモ」、2016年に現在のNEMO科学ミュージアムへと名を変えた。現在の建物はレンゾ・ピアノの設計により1992年から1997年にかけて建設され、市内を貫くIJトンネルの上部に位置を占める。
建築的特徴
建物は、地下を走るトンネルの構造体の上に載るという制約から、水際でゆるやかに立ち上がる独特の断面をもつ。傾いた屋上は公開された広場(テラス)として開放され、街と港を見渡す展望の場となっている。外装には時とともに緑青色へ変化した銅板が用いられ、運河の水面や周囲の煉瓦造の街並みと響き合う。内部は5層にわたる体験型の展示空間で構成され、来館者が手で触れて学ぶ構成が一貫している。建物そのものが、巨大な船を思わせる一個の象徴として設計された。
意義・現在
NEMOは、レンゾ・ピアノが得意とする軽量で技術志向の建築言語を、都市のインフラと一体化させた事例として評価される。船を思わせる象徴的な姿は、アムステルダムの港湾景観に新たな焦点を与えた。前身の労働博物館以来の「働くこと・つくること」を伝える理念を受け継ぎ、現在もオランダを代表する科学普及の拠点として機能している。