ザ・シャード The Shard
ロンドンのテムズ南岸に建つ超高層ビル。レンゾ・ピアノ設計、2012年竣工。高さ309.6mは西欧最高で、ガラスの角錐形が街並みを一変させた。
§1 — 概要概要
ザ・シャード(The Shard)は、ロンドン・サザーク地区のテムズ川南岸に建つ超高層ビルである。イタリアの建築家レンゾ・ピアノが設計し、2012年に竣工した。高さ309.6メートルはイギリスおよび西ヨーロッパで最も高く、ガラスに覆われた尖塔状の姿が街のスカイラインを一変させた。
歴史
開発者アーヴィン・セラーとピアノが2000年に構想を温め、ロンドン橋駅に隣接する高密度開発として計画された。景観への影響をめぐる審査や反対運動を経たのち、2003年に建設許可が下りた。前身のオフィスビルを解体し、2009年に着工。基礎を掘りながら上部を組み上げる「トップダウン工法」が用いられ、2012年3月に尖塔を据えて頂部に達した。同年7月に落成式が行われ、11月に実質竣工、展望施設は2013年2月に一般公開された。
建築的特徴
平面が上にいくほど絞られる角錐形で、垂れ下がる氷の破片(シャード)になぞらえた名がつけられた。ピアノは、ロンドンの教会の尖塔や帆船のマスト、18世紀の画家カナレットが描いた都市景に着想を得たと語っている。外装は約11,000枚の低鉄分ガラスによるカーテンウォールで、面ごとにわずかに角度を変えて光を反射する。外皮は二重構造とし、間に設けた可動ブラインドが日射を制御する。低層からオフィス・ホテル・住宅・展望台を積層する「垂直の都市」として構想された。
意義・現在
高層建築に慎重だったロンドンに建った超高層ビルとして、シャードは都市の景観論争を再燃させると同時に、塔の集積を許容する計画手法への転換を促した。72階の展望台はロンドンを一望する観光名所となり、周辺のシャード・クォーター再開発を牽引している。ピアノの環境配慮と公共性への志向を体現する、21世紀ロンドンの象徴的建築である。