ロシア連邦タタールスタン共和国の州都カザンに建つモスク。16世紀に破壊された同名のモスクを記念し、カザン建都千年に合わせて2005年に再建された。カザン・クレムリンを代表する建築である。
§1 — 概要概要
クール・シャリフ(タタール語:Кол Шәриф мәчете)は、ロシア連邦タタールスタン共和国の州都カザンの城塞カザン・クレムリン内に建つモスクである。白い大理石の壁体と青みを帯びたドーム群を四隅の高いミナレットが囲み、完成当時はロシア、さらにイスタンブール以遠のヨーロッパで最大級のモスクとされた。タタールのイスラーム文化復興を象徴する存在である。
歴史
同名のモスクは16世紀、カザン・ハン国の宗教と学問の中心として建てられていた。名はそこで教えた学者クール・シャリフに由来する。彼は1552年のカザン包囲戦でイヴァン雷帝の軍に抗して門弟とともに斃れ、モスクも破壊された。以後その姿は四世紀半にわたって失われたままであった。ソ連解体後の1995年に再建が決定し、翌1996年に礎石が据えられ、カザン建都千年にあたる2005年に完成・開堂した。
建築的特徴
原型の正確な姿は伝わらないため、再建はその復元ではなく、史料と伝承に基づく現代的な解釈として設計された。左右対称の平面に中央の大ドームを据え、内部にはミフラーブやステンドグラスを備える。深い青のドームはタタールの伝統を想起させる象徴的な意匠で、白い外壁と鮮やかな対比をなす。多くの礼拝者を収める広い内部空間をもち、地階にはイスラーム文化を伝える展示室が設けられている。
意義・現在
クール・シャリフは、世界遺産に登録されたカザン・クレムリンの一角を占め、敷地内に建つ正教会の生神女福音大聖堂と向き合って建つ。モスクと正教会の聖堂が並び立つ景観は、多宗教・多民族が共存するタタールスタンの自己像を体現する記念碑として広く知られている。
関連する建築
Related
サウジアラビア、メッカにあるイスラーム第一の聖モスク。中央に立方体の聖殿カア…