ラム・マンディール Ram Mandir
アヨーディヤーに建つヒンドゥー教寺院。ラーマの生誕地とされる地に、北インドの寺院様式ナーガラの規範で造営された。ソームプラ家のチャンドラカント・ソームプラが設計し、2024年に主祠堂が開堂した現代インドを代表する大規模寺院である。
§1 — 概要概要
ラム・マンディール(Ram Mandir、ラーマ寺院)は、インド北部ウッタル・プラデーシュ州アヨーディヤーに建つヒンドゥー教寺院である。ヒンドゥー教の主神のひとりラーマの生誕地とされる地に造営され、北インドの寺院様式ナーガラの規範に則って設計された。寺院建築を世襲してきたソームプラ家のチャンドラカント・ソームプラが主任建築家を務める。2024年1月に主祠堂が開堂し、信仰と政治の両面で大きな注目を集めた、現代インドを代表する大規模寺院である。
歴史
この地は長く宗教対立の焦点であった。16世紀に建てられたバーブリー・マスジド(モスク)が1992年に破壊され、跡地の帰属をめぐる訴訟が続いた。2019年、インド最高裁判所は係争地をヒンドゥー側に与えて寺院建設を認め、イスラム側には別の土地を割り当てる判決を下した。2020年8月5日、ナレンドラ・モディ首相を導師役として起工式(ブーミ・プージャン)が行われ、本格的な建設が始まった。2024年1月22日には主神像の開眼供養(プラーナ・プラティシュター)が営まれ、主祠堂が一般に公開された。境内全体の整備はその後も続いている。
建築的特徴
寺院はナーガラ様式のなかでも、西インドに展開したマール・グルジャラ(ソランキー)の流れをくむ。中心の聖室ガルバグリハの上に砲弾形の塔シカラがそびえ、その手前に列柱の広間マンダパを連ねる伝統的な構成をとる。鉄を用いず、砂岩と大理石の石材を組積して建てられ、外壁や柱は神話の図像や唐草の彫刻で覆われる。三層からなる基壇の上に複数の塔と広間が並び、規模・高さともに現代の寺院としては大きい部類に入る。インドの伝統的な石造寺院の技法を、現代の工事規模で再現した点に特色がある。
意義・現在
ラム・マンディールは、古典的なナーガラ建築の語彙を21世紀に大規模に蘇らせた事例として注目される。同時に、その建立は近代インドの宗教・政治史と分かちがたく結びついており、開堂は国家的行事として扱われた。主祠堂の公開後は連日多数の参拝者が訪れ、境内の残る部分の整備が進められている。建築の評価は、信仰や政治をめぐる議論と切り離して論じることが難しい対象でもある。
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