ロイヤル・アルバート・ホール Royal Albert Hall
ロンドンのサウス・ケンジントンに建つ楕円形の大ホール。1871年開場、ヴィクトリア朝の技師ファウクとスコットの設計で、夏の音楽祭「プロムス」の会場として知られる。
§1 — 概要概要
ロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)は、ロンドン中心部サウス・ケンジントンに建つ大規模な多目的ホールである。約5,300席を備える楕円形の大空間をもち、1871年の開場以来、クラシックからロックまで幅広い催しの舞台となってきた。とりわけ毎夏の音楽祭「BBCプロムス」の会場として名高い。ヴィクトリア女王が、亡き夫アルバート公を記念して名づけた建物である。
歴史
1851年のロンドン万国博覧会を成功させたアルバート公は、その収益をもとに芸術と科学の拠点群「アルバートポリス」をサウス・ケンジントンに築こうと構想した。公は1861年に没したが、構想は引き継がれ、1867年5月にヴィクトリア女王が礎石を据えて着工した。設計は王立工兵隊の技師フランシス・ファウクが担ったが、彼は着工前の1865年に没しており、同じ工兵隊のヘンリー・スコットが設計を引き継いで完成させた。1871年3月29日、女王臨席のもとに開場した。当初は反響が大きく音響に難があったが、1960年代の改修で改善された。
建築的特徴
平面は古代の円形劇場(アンフィテアトルム)に着想を得た楕円形で、優れた見通しと音響を狙ったものである。外装は主にフェアラム産の赤煉瓦とテラコッタの装飾でまとめられ、外周をめぐる巨大なテラコッタ製のフリーズ「芸術と科学の勝利」が建物を一周する。大空間を覆うのは、ローランド・メイソン・オーディッシュが設計した錬鉄とガラスのドームで、当時としては先進的な構造的達成であった。鉄骨の架構はいったんマンチェスターで仮組みされ、解体のうえロンドンへ運ばれて再び組み上げられた。
意義・現在
ロイヤル・アルバート・ホールは、アルバート公の理念を体現する記念建築であり、その実用的な核として、北側のアルバート記念碑と対をなす。19世紀の鉄構造とテラコッタ建築の到達点を示すとともに、英国の文化生活の中心であり続けてきた。グレードI(第一級)の指定建造物として保護され、現在も年間390を超える公演を擁する現役の劇場として、その円い姿はロンドンの象徴のひとつとなっている。