サンクトペテルブルク・モスク Saint Petersburg Mosque
サンクトペテルブルク中心部に建つモスク。1913年の開堂時、トルコを除くヨーロッパで最大であった。ヴァシリエフがサマルカンドのティムール廟に着想し、青いドームと粗い花崗岩の外壁を組み合わせた。
§1 — 概要概要
サンクトペテルブルク・モスク(ロシア語: Санкт-Петербургская мечеть)は、ロシア・サンクトペテルブルクの中心部、ネヴァ川をはさんでペトロパヴロフスク要塞を望む位置に建つモスクである。1913年の開堂当時、トルコを除くヨーロッパで最大のモスクであった。高さ49メートルの二本のミナレットと、青いタイルに覆われたドームが、北方の都市に中央アジアの色彩をもたらす。最大で五千人の礼拝者を収容する。
歴史
首都のムスリム人口の増加を背景に、1906年に建設委員会が組織され、各地からの寄付と、最大の出資者であったブハラ首長アブドゥールアハト・ハーンの支援によって資金が集められた。1910年に礎石が据えられ、1913年、ロマノフ朝300年祭に合わせて開堂した。設計は建築家ニコライ・ヴァシリエフと技師ステパン・クリチンスキーらが担い、建設の監理は建築家アレクサンドル・フォン・ゴーゲンが当たった。内部を含む全体の完成は1921年に及んだ。
建築的特徴
ヴァシリエフは、サマルカンドのティムール廟(グーリ・アミール)を範として、青いタイルの大ドームと、高いイーワーン状の正面門を据えた。一方で外壁には灰色の粗い花崗岩が用いられ、当時のペテルブルクで流行した北方のナショナル・ロマンティック様式と、中央アジアのイスラーム建築の語彙とが融合している。正面門まわりには陶製の装飾とアラベスクが細やかに施されている。礼拝室では男女が階を分け、女性は上階で礼拝する。
意義・現在
東西の様式を大胆に結びつけた、ロシア帝国末期を象徴する記念碑的建築である。第二次世界大戦中は閉鎖されて倉庫に転用されたが、1956年に信徒へ返還され、以後ふたたび信仰の場となった。サンクトペテルブルクの多文化的な歴史を今に伝える存在として、市の重要なランドマークに数えられている。