サン・フランチェスコ・ディ・パオラ聖堂 San Francesco di Paola
ナポリのプレビシート広場に面する新古典主義の聖堂。ブルボン家の王位回復を記念して1816年に着工し、1846年に完成した。ローマのパンテオンに着想を得た円形堂と半円形の列柱廊で知られる。
§1 — 概要概要
サン・フランチェスコ・ディ・パオラ聖堂(San Francesco di Paola)は、ナポリ旧市街のプレビシート広場に面して建つバシリカである。イタリアにおけるドーム建築・新古典主義の代表作の一つに数えられ、広場を抱き込む半円形の列柱廊とともに、ナポリを象徴する都市景観をかたちづくっている。
歴史
建設は、ナポリを追われていたブルボン家のフェルディナンド1世が王位に復帰したことと深く結びついている。王は守護聖人である聖フランチェスコ・ディ・パオラへの感謝の念から、広場を見おろす位置に聖堂を建てることを誓願した。設計は公開競技に付され、スイス・ルガーノ出身でナポリに活動したピエトロ・ビアンキの案が選ばれた。礎石が据えられたのは1816年、ファサードが整ったのが1824年、内部装飾が1836年、彫像の据え付けが1839年で、聖堂全体の完成は1846年に至った。前面に広がるドーリア式の列柱廊そのものは、これに先立ってレオポルド・ラペルータが設計したものである。
建築的特徴
聖堂の本体は直径およそ34メートルの円形堂で、その構成は明らかにローマのパンテオンを範としている。半球形のドームが中央空間を覆い、頂部から落ちる光が内部を照らす。前面には三角形のペディメントを戴くポルティコが張り出し、左右には小規模なドームを頂く副礼拝堂が従う。外へ向かっては、広場を半円に囲む列柱廊が両翼を伸ばし、聖堂と都市空間とを一体の構図に結びつける。多彩色の大理石で幾何学文様を描く床は、簡素な外観と対照をなす豊麗な内部をつくり出している。
意義・現在
この聖堂は、古代ローマの理想を19世紀のナポリによみがえらせた新古典主義建築の到達点であり、王権の記念碑としての性格と、信仰の場としての機能とを併せもつ。聖堂と列柱廊が一体となって構成するプレビシート広場は、ナポリ歴史地区の中心的な景観をなし、同地区は1995年にユネスコ世界遺産に登録された。今日も現役の聖堂として用いられるとともに、広場は市民生活と祝祭の舞台でありつづけている。
関連する建築
Related※ イタリアの文化財保護法(文化財・景観法典)により、文化財の画像の商業的複製には所轄官庁の許諾を要する場合がある。