サンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会 Sant'Andrea della Valle
ローマのテアティノ会の中心に立つ大聖堂級の教会。1590年に着工し、デッラ・ポルタやマデルノらが手がけた反宗教改革期バロックの説教教会で、ローマで三番目に大きいクーポラとランフランコのフレスコで知られる。
§1 — 概要概要
サンタンドレア・デッラ・ヴァッレ(Sant'Andrea della Valle)は、ローマの中心部サンテウスタキオ地区に立つ名誉聖堂・小バシリカである。テアティノ会の総本部が置かれ、反宗教改革期にローマの諸修道会が競って建てた大規模な説教教会の一つに数えられる。イエズス会のジェズ教会やオラトリオ会のキエーザ・ヌオーヴァと並ぶ、十七世紀ローマのバシリカ建築を代表する作例である。
歴史
1582年、アマルフィ公妃コスタンツァ・ピッコローミニ・ダラゴーナがテアティノ会に邸宅と聖堂を遺贈したことを発端とする。アマルフィの守護聖人が聖アンデレであったことから、新聖堂もこの聖人に捧げられた。工事は1590年頃、ジャコモ・デッラ・ポルタとピエル・パオロ・オリヴィエーリの設計のもとに始まる。教皇シクストゥス5世の甥アレッサンドロ・ペレッティ・ディ・モンタルト枢機卿の庇護と巨額の寄進によって1608年頃に再開され、より壮大な構想を主にカルロ・マデルノが手がけた。内部は1650年までにおおむね完成し、テアティノ会士フランチェスコ・グリマルディによる改変も加えられた。ファサードは後にカルロ・ライナルディが設計し、カルロ・フォンターナがこれを引き継いで完成させた。
建築的特徴
平面は側廊をもたず、両側に礼拝堂が並ぶ単一の身廊と交差部の大クーポラからなる、説教を重んじる反宗教改革期教会の典型である。マデルノの設計によるクーポラは、サン・ピエトロ大聖堂とパンテオンに次いで長くローマで三番目に大きいドームとされた。その内側にはジョヴァンニ・ランフランコが1627年に完成させた壮麗なフレスコ「天国の栄光」が広がり、以後数十年のドーム装飾の規範となった。ペンデンティヴの福音書記者像は、ランフランコと競作したドメニキーノの手になる。波打つように前後する二層のファサードは、円柱と切妻、彫像が劇的に組み合わされた盛期バロックの構成を示す。
意義・現在
サンタンドレア・デッラ・ヴァッレは、反宗教改革の精神を空間化したローマ・バロックの到達点の一つである。広い身廊と巨大なドーム、劇的な光と装飾は、信徒を説教と荘厳な礼拝へと引き込む舞台装置として構想された。プッチーニの歌劇『トスカ』第一幕の舞台としても知られ、今日も現役の教会として、また美術史上の重要な作例として参観者を迎えている。イタリアの国定文化財に指定されており、ローマ中心市街の歴史的景観を構成する建築の一つである。
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