プラハ旧ユダヤ人街ヨゼフォフに建つ、1868年竣工のムーア・リヴァイヴァル様式のシナゴーグ。ウルマンとニクラスの設計になり、絢爛な内装で知られ、現在はプラハ・ユダヤ博物館の一部をなす。
§1 — 概要概要
スペイン・シナゴーグ(チェコ語 Španělská synagoga)は、プラハの旧ユダヤ人街ヨゼフォフに建つ、かつての改革派ユダヤ教の会堂である。1868年にムーア・リヴァイヴァル様式で竣工した。様式名は、スペインのイスラーム期の芸術に着想を得たことに由来する。1955年に恒久的にユダヤ博物館へ転用され、現在はプラハ・ユダヤ博物館が管理している。
歴史
この場所には、かつてプラハ・ユダヤ人街で最古とされた会堂アルトシュル(古学堂)が建っていた。19世紀後半、アルトシュルは手狭になり、穏健な改革派の礼拝のために改修してきた共同体は、1867年に旧堂を取り壊し、翌1868年に新しいスペイン・シナゴーグを建てた。設計はヴォイチェフ・イグナーツ・ウルマンと、内装を担ったヨゼフ・ニクラスによる。豪華な内部装飾は1882年から1893年にかけてさらに整えられた。1935年には機能主義の付属棟(カレル・ペツァーネク設計)が加えられ、共同体の病院として用いられた。第二次大戦中は接収されたユダヤ共同体の財産の保管に使われ、戦後の1955年にユダヤ博物館へ引き渡された。1970〜80年代に荒廃して閉鎖されたが、ビロード革命後に修復され、1998年に再開された。
建築的特徴
平面は正方形で、二層の本堂の中央にドームを戴く。内部はムーア・リヴァイヴァル様式の粋を尽くし、馬蹄形アーチ、幾何学文とアラベスクを組み合わせた漆喰装飾、金彩や多彩色の文様が壁面と天井を覆う。アルハンブラ宮殿などスペイン・イスラーム建築の意匠を翻案したもので、プラハの会堂のなかでもとりわけ華麗な内装をもつ。
意義・現在
19世紀のユダヤ人解放の時代に、東方的・異国的な意匠を自らの記念碑に選んだムーア・リヴァイヴァル会堂建築の代表例である。現在はプラハ・ユダヤ博物館の展示空間として、ボヘミアのユダヤ史を伝える。チェコ共和国の文化財に指定されている。